新・汎用ガイガー検波ユニットの製作(後編)
中編の2 の続きとなります。
お待たせしました。(え?待ってない・・・?)
巷の常識ではデューティ比 50% 以下にはならないとされる 555 を 約15% のデューティ比で稼働させることに成功し、コッククロフトなしに約50倍の昇圧率を成し遂げました。
以前のバージョン と比較すると分かりますが、かなり部品点数を削減しています。
まずは J209 などアノード電圧 900V 向けから。
NE555 の左側を見て頂くと7番→6番の向きにダイオードを1本いれてありますが、これがポイントです。
6番ピンのコンデンサへの充電時間が出力 ON の状態なのですが、ダイオードで 68kΩ をバイパスさせてしまうことで高速充電させてます。
電源電圧が 9V であるのと、ダイオードに流れる電流が少なく VF も小さいため、12kΩと68kΩの割合が支配的になり、充電時には 12kΩ に見合う時間、放電時は 68kΩ の時間、となりデューティ比を50%よりも大きく下げることに成功しました。
オシロ目測ではありますが、15〜18%ほどのデューティ比です。
消費電流30mA(電源9V) | 低いデューティ比 | 出力900V(100:1なプローブ 経由) |
バッテリーで動かすには電気食いすぎ感がありますが、モニタリングポスト用途であれば部品点数を大幅に減らす対価としての 30mA なら問題ないでしょ?
100MΩ 抵抗と 1000V 5pF だけは秋月にないですが、それ以外は秋月でそろいます。
カップリングコンデンサ 1000V 5pF は更に小容量でも大丈夫で、小容量のほうがガイガー管の寿命を延ばすと思います。
555 はハイパワーな NE555 をチョイスしてくださいね。
省電力な CMOS 555 だと、たぶん失敗します。(MOSFET のドライブ能力が不足する)
220μH はリードタイプ を、MOSFET は TK2Q60D をチョイスしました。
Qg(ゲート容量)は僅か 7nC らしいので、ゲート抵抗なしでも 555 が耐えると踏んでますが。
VREF ピンへは希望する電圧の 1/500 な電圧を印可してください。
900V だったら 1.8V、800V だったら 1.6V です。
これまでの Mark2 互換機と同様に、内部で 10kΩ プルダウンしてますので、これに注目し、3.3V→8.2kΩ→VREF という風な接続にすると、3.3V が 8.2kΩ と 10kΩ とで分圧され、ちょうど 1.8V になり 900V になります。
電源電圧以外はこれまでの Mark2互換機 と一緒で、放射線ピコーんの波形も同じく正論理ですが、電源電圧が上がったことでピコーん信号も以前より高電圧になってます。
電源電圧が定まれば分圧でもいいのですが、何V でも大丈夫なようにツェナーダイオードで保護するようにしてみました。
ということで、本日から隣の空き地のモニタリングポストで使っている J209×2本のうち、単管パイプでβ遮蔽しているほうに上記回路を投入し、しばらく様子見しようと思います。
(3月下旬に壊れて、しばらく放置していたので・・・汗)
コッククロフトを省略した SBM20 や J408 と言った 400V 前後の管むけ回路も一緒に載せておきますね。
コッククロフトを取っ払った程度です。
(追記)2016/05/15
12kΩ+68kΩ の定数で大丈夫かと思ったのですが、少々気温依存してるぽいです。
12kΩ→13〜15kΩ に変更したほうがいい気が。
とりあえず PCB基板 が出来てきてから調整します。
(追記)2016/06/04
PCB基板の頒布を開始しました。
新・汎用ガイガー検波ユニットの製作(完成編) をどうぞ
気温依存してるかも?と書きましたが、気温依存してたのは mbed の DAC のほうでした。
mbed の DAC を使わないで、別に用意した 1.8V な三端子の出力を VREF に投入して 900V 生成させてやったら、気温に関係なくビシっと安定しました。