新・汎用ガイガー検波ユニットの製作(中編の1)
NE555 と 耐圧600V な MOSFET の組み合わせで、6.8V→600V の昇圧に成功した記事 の続きとなります。
目標は J209 向け 900V でして、コッククロフトで2倍にするか、もっと耐圧の高い MOSFET を使って単騎でがんばるか、どっちにしようか迷っておりましたが、確か大昔に耐圧の大きな FET を買ってた気がしてきました。
消費量よりも購入量のほうが多くて在庫の積み上がる一方の部品庫を探していたら、、なんかトランジスタの場所に FET が混入してるじゃないですか。
たぶん2〜3年ほど前くらいまで秋月で扱われていた 900V な Nch MOSFET FQPF3N90 です。
耐圧 900V なので本当はもう少し耐圧マージンを取ったほうがいいと思いますが、我が家にある MOSFET の中ではこれが最大であるため、こいつを投入しようと思います。
また、昇圧のためカチカチする部分、これは前回は NE555 を使いましたけど、デューティ比を弄ると周波数も一緒に変わってしまうということで、実に実験向けでない代物でした。
4.7kΩ+1kΩ+2200pF という定数が本当にベストなのか?って思うじゃないですか。
組み立てただけで全くと言って使ってこなかった「ファンクションジェネレータキット」が、この実験に使えるんじゃないのかと思い出しましたので、こいつも投入します。
たぶん、この手のには保護回路が入ってるはずだから、漢にゲート直結っす。
ゲートドライブが 5V 程度だと、精々 200V くらいまでしか昇圧できないことは前の実験で分かりましたが、秋月マルチファンクションジェネレータを使ったときでも傾向は同じで、最低でも 5.8V(設定上は AMP 5.8V OFS 2.9V)ほどでないと十分にゲートを制御できないようです。
5V で動かすことに拘らないほうが早そうなので、とりあえずキリよく 9V で、900V を達成させるべく定数を探ってみます。
いきなり結果を書きますが、100μH なインダクターを用いて1発で 900V 出力になる組み合わせは
電源 | 周波数 | デューティ比 | 消費電流 |
9V | 3600Hz | 15% | 130mA |
9V | 4800Hz | 20% | 153mA |
9V | 7200Hz | 25% | 160mA |
9V | 22000Hz | 50% | 220mA |
周波数を上げるにつれて、デューティ比を上げないと 900V にならず、それに伴って消費電流も増えていく、という感じです。
ちなみに周波数を下げすぎると、消費電流が増えながら電圧が下がるという現象が起きました。
ON の時間が長すぎて 100μH なインダクタが飽和しちゃうんだと思います。
可聴域より遙かに高い周波数を使うのが普通だろ、という先入観で NE555 での実験では 数十kHz あたりで試していたのですが、まさか数kHz のほうが効率が良かったとは・・・
電圧を上げれば、もっとデューティ比を下げられるのか?って興味も沸いてきましたので実験します。
電源 | 周波数 | デューティ比 | 消費電流 |
11V | 2400Hz | 8% | 51mA |
13V | 1800Hz | 5% | 45mA |
14V | 1800Hz | 4% | 60mA |
1/100プローブを挟んだオシロで 900V を判断する関係で、主観の及ぼす影響が大きいため、あまり自信ないのですが、数十mA にまで減るのは確かなようです。
(それぞれの消費電流に電圧を掛けたあとの電力量で比較しても電圧が高いほうが結果が良好)
NE555 はデューティ比50%以下に出来ないから、消費電力の面で不利だなぁ
あと単騎で凄い昇圧するのは効率が悪くなる原因のようで、若松Mark2 のように、精々 100V までの昇圧に留めて、コッククロフトやって電圧だけ稼いだほうが効率は良い感じです。
ちなみに 9V→100V への昇圧なら、一桁ミリアンペアしか食いませんでした。
部品点数が大幅に増えることを覚悟して省エネなコッククロフトにするか、爆熱上等♪で単騎に拘るか、難しい選択です。
(追記)2016/04/26
当記事の続きとして 中編の2 を書きました。