セシウム消してストロンチウムを残す恐怖

時事ドットコム:魚肉のセシウム大幅除去=細かく砕き、水洗い−東大


 渡部教授らは、かまぼこの材料となるニベとマダラで実験した。いずれも昨年8〜9月に福島県沿岸付近でとれたが、ニベは放射性セシウム134と137を1キロ当たり計334.0ベクレル含んでいた。
 ニベをミキサーで粉々にし、3回水に浸して洗った結果、セシウムは当初の約5%に当たる同18.1ベクレルに減少。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012032700050

 最終的に 2000bq/kg の魚も食えるようにすると思わせる研究が東大が行っていると推測される記事だが、未だに庶民に対して行間読みテストをやってるのか!?、とすら感じる。


 セシウムは半年で概ね体から自然排出される。
 それなのに、なんで大きく取り上げる必要があるのかと言えば、セシウムに対して一定割合で一緒に含まれていると推測される放射性ストロンチウム、これがセシウムを測るよりも難しいので、とりあえずセシウムを測っておけばストロンチウムの量も推定できる、という風にストロンチウムを測るためのリトマス試験紙のような役割も放射性セシウムが果たしている。


 この放射性ストロンチウム生態学半減期が30〜50年と言われるので、セシウムと違って、いったん取り込んでしまったら死ぬまで(死んでも)排出されることなく、ずーと体内で放射線を出し続けるという、セシウムを遙かに超える恐ろしい物質だ。


 しかも放射線γ線を出さないでβ線しか出さず、β線は皮膚を貫通しては外に出てこないので、ホールボディカウンターなどを使って、どれだけストロンチウムを被曝しているか測定することが出来ない。
 放射線が貫通することなく細胞にあたってエネルギーの全てを消費するので破壊度はγ線より遙かに高く、内部被曝による危険度はセシウムの数百倍と言われる。
 セシウムが 1000bq/kg 測定されれば、(測らずとも)一定量ストロンチウムも一緒に含まれると推測できるため、「セシウム1000bq/kgはストロンチウムの分も加味して危険」というレッテルを貼るのだ。


 ここで仮に セシウムを95%除去する技術が確立 できたとき、なにが起きるか


仮定1 ストロンチウムセシウム比で1%
仮定2 ストロンチウムの危険性はセシウムの300倍


セシウム除去技術を使わないとき

セシウム 推定ストロンチウム 危険度(セシウム換算)
100bq/kg 1bq/kg 400
300bq/kg 3bq/kg 1200
500bq/kg 5bq/kg 2000
1000bq/kg 10bq/kg 4000
2000bq/kg 20bq/kg 8000


セシウム95%除去後

セシウム セシウム95%除去後 推定ストロンチウム 危険度(セシウム換算)
100bq/kg 5bq/kg 1bq/kg 305
300bq/kg 15bq/kg 3bq/kg 915
500bq/kg 25bq/kg 5bq/kg 1525
1000bq/kg 50bq/kg 10bq/kg 3050
2000bq/kg 100bq/kg 20bq/kg 6100


 3月までの暫定基準 500bq/kg も、4月以降の基準値 100bq/kg も、どちらも「セシウムに対して一定の割合でストロンチウムも含まれる」を前提に算出した「ただちに健康に害は与えないであろう」基準値ですが、もともと 2000bq/kg とか 1000bq/kg とかの高濃度汚染食材も、セシウム除去技術によって新基準を満たしてしまう安全な食材に早変わり。


 表の中で赤字にしたところ注目いただきたいのですが、セシウム95%除去した結果、新基準を満たすことに成功した食品は、危険度 6100 という数値となり、かなり緩すぎると言われた暫定基準 500bq/kg 時代の上限の3倍も危険な食品ということになります。


 もし仮にセシウム除去99%が可能になれば・・・・

セシウム セシウム99%除去後 推定ストロンチウム 危険度(セシウム換算)
5000bq/kg 50bq/kg 50bq/kg 15050
10000bq/kg 100bq/kg 100bq/kg 30100

 こんな恐ろしい食材すら基準をクリアする合法食材になってしまいます。


 100bq/kg の食材を除去技術つかって 1bq/kg にするのは結構な話ですが、10000bq/kg もの放射性食材を除去技術で合法食材にされては、たまったものではありません。
 セシウム除去前の汚染度を基準に準用しないと、取り返しの付かないことが起きます。


(追記)
 下にコメントされている Feng さんは「ストロンチウム」の単語が書かれたブログを探しておられて、アメリカのIPアドレスからやってこられました。
 2回目の投稿は中国からです。


 世界を股にかけておられるような方からコメントを頂けるのは光栄(笑)です。