1000円+で作る 100W 級 MPPT 充電器 (後編)
だいぶ間が空いてしまいました。
前編 の続きです。
前編の作例では 7.5A大電力DCDCコンバータ制御IC NJM2811 を使ってみました。
秋月には他にも様々な DCDC が販売されていますが、その中でも、インダクタや放熱板もセットになっていて、あとはコンデンサを外付けするのみ、という DC−DCコンバータ 12V8A HRD12008 を使ってみたいと思います。
(注意)
HRD12008 は出力+5Vの入力を必要とするらしく、太陽光発電の MPPT 充電器 として用いる場合には、コンスタントに 20V 以上の起電力を有する太陽光パネルでないと、定格どおりの充電ができません。
いわゆる 12V仕様 のパネルは公称最大出力電圧が 17〜18V くらいのものが多く(私の買ったパネルも同じで)、12V で出力する分には問題ないものの、14.4〜14.8V 付近の電圧でバッテリー充電する用途には電圧不足です。(最適点を外れた電圧のまま固定されてしまいます)
幸い 40V まで耐圧があるので、HRD12008 を MPPT 充電器として用いる場合には、いわゆる 24V仕様 として売られているパネル(開放電圧が 40V を越えないものに限る)と組み合わせるべきです。
前編で紹介した NJM2811 を用いたほうは、(経験的に)出力+3V くらいの入力で動作するぽいので、パネル電圧が低いものと組み合わせるときは NJM2811 を使った前編の回路を御利用くださいませ。
施さないといけない改造箇所は
- バッテリーを接続することを考慮する(逆流防止措置を講じる)
- 出力電圧を 12V でなく 14.4〜14.8V くらいにする。(太陽光限定のとき)
- 充電制御のため、エラーアンプの出力を外部に取り出す
回路図で表すとこんな風です。
(かなり大ざっぱに書いてますが、気持ちは伝わるのではないかと・・・)
爪を折らないように気をつけつつ黒い樹脂製?の蓋を取り外します。
まず MOSFET のドレインとコイルの中点→VIN の方向にダイオードを挿入します。
(バッテリーからの逆流保護のみならず、インダクタの逆起電力保護も兼ねます)
右下の矢印で指した半田穴は回路図で言うところの FB ポイントなのですが、ここと GND の間に 20kΩ 挿入すると4.7kΩに対して並列になって出力電圧が 14.6V くらいになるのですが、後で気が向いたときに電圧変更できるよう敢えて抵抗を直に半田付けせずに、UEW線などで引き出しておきます。
(引き出した上でユニバーサル基板上で 20kΩ を経て GND に落とす)
次に放熱板も取り外し、エラーアンプの出力 E/O(6ピン) を引き出します。
狙う E/O ピンは右側の列の手前から6番目、奥から3番目のピンです。
かなり厄介ですが、幸いに吸い取り線を使える場所なので、もし失敗して隣ピンとブリッジさせてしまっても吸い取り線で救済&リトライ可能かと思います。
こうして苦労して引き出した E/O ピンは前編で言うところの NJM2811 VCOMP ピンに相当します。
黒い蓋を元通りに戻し、取説に従って電解コンデンサを取り付けたら DCDC部 としては完成です。
(書きかけ)
(追記)2014/12/20
書きかけのまま放置してますが、この手の MPPT 充電器は降圧式でなく昇圧式にしたほうが色々と有利なことに気がついてしまいました。
昇圧式の MPPT 充電器を試作してまして、ただいま実証テスト中。
まとまったら続報を書きますね。
(追記)2015/03/31
続報を書くと言いつつ放置してた昇圧版の記事を書きました。
昇圧型 (簡易) MPPT 充電器