膨らんだ原因と今後の対策

膨らんだ原因の評価と今後の対策



 サウンドハウスの 12V9AH の商品コメント欄を読んでみたら、私と同じ程度かどうかは分かりませんが、「バッテリーが膨らんだ」という報告をあげている方を見つけました。
 この方は正規のUPSに使われていての話でしょうけど、私の場合は目的外の使い方をしているので「個体不良の疑い」は払拭できないもののクレームを出すわけにいきません。


 そもそも充電器が、mbed を用いた自作 MPPT 充電器(ACアダプタ併用可能) なので、充電仕様が不味かった可能性もあります。
 以前に時々書いてた MPPT 充電器 の最終形となるものの、その最終形の回路図は公開していません。


 特に出し惜しみしているわけでもなく、単に記事を書くのをサボっているだけですが、そろそろ夏本番ということで太陽光発電とMPPTをキーワードに参考回路を探しに来られる方も出てくる時期なので、きちんと記事にしないといけないですねー という独り言は別の機会にするとして、自作充電器の概要仕様は以下の通りでした。

  • 最大 15V / 4A をリミッターとし充電を開始(いわゆる急速充電モード)
  • 充電電流が 0.3A を下回ったら満充電と判定し、最大 13.8V の「いたわり補充電モード」に移行
  • バッテリー電圧が12Vを下回るほどに消費したときは、次から急速充電モードへ
  • バッテリー電圧が10.5Vを下回ったら負荷を遮断
  • 消費電力によって大きく電圧がかわる不安定な電源(太陽光を含む)の場合は、最適消費電力地点を自動走査(MPPT)
  • ACアダプタ併用時にも特に支障なく充電動作できることを確認

てな感じです。


 サウンドハウスのバッテリーは秋月のものと違ってデータシートがないものの、「鉛蓄電池なんてどこも一緒に違いない」という先入観で、0.3C まで許容するだろうと勝手に判断。
 秋月の鉛蓄電池と同じ仕様だとしたら、9AH ひとつあたりだと 9AH×0.3C=2.7A が上限だろうと。
 私の使途はサイクルユースなので、最大充電電圧は 〜15V、ということで、9AH × 2並列 × 0.3C = 5.4A が上限のところ、マージン25% みてキリよく 15V/4A と決めました。


 並列でつないだ 9AH のバッテリーに 2A ずつ均等に流れるだろう、多少は内部抵抗のズレがあるにせよ同ロットだから 1.5A/2.5A もの大きな違いにはなるまい、そんな風でした。
 
 
http://dl.ftrans.etr.jp/?9672b5656af54034ad72d138ad6698f93cf7061e.jpg


 懲りずに、同じ型番の新しいバッテリーをサウンドハウスから調達し組立。(白い箱の中で 12V9AH が2並列してます)
 急速充電モード(最大15V)をかけて充電させてみたところ 3.2A が流れ込んでいる写真が上のものです。
 入力は太陽光パネルでなく 24V/2.7A な安定した ACアダプタ を使用してます。


 ちょっと写真を撮るのをサボってしまってますが、2個のテスターを使ってそれぞれのバッテリーのターミナル付近を流れる電流測定をしてみたところ、トータル3.2A のところ、片方へ 2.5A、もう片方へ 0.7A という感じ。


 合計 3.2A が、9AH なバッテリーに 1.6A ずつ・・・と思い込んでいたのですが、そもそもそこが間違いだったらしく。。


 イメージは ↓ な感じ。
 おやつを双子の兄弟で仲良く半分こしていることを期待してたのですが、兄ちゃんが殆ど平らげていたという・・・


http://dl.ftrans.etr.jp/?ef1b84e231184f609c0635bf2f35b718509f1172.png


 兄ちゃんのほうが僅かに生暖かい。。。
 これは食いすぎだ・・・


 中身が空っぽじゃなく、15V/4A のリミッターの 15V 側に引っかかってるため、3.2A の充電電流ですけど、これバッテリーが空に近かったら、電流リミッターが作動する側に張り付くので、その時は 4A。


 3.2A のとき、兄ちゃんが 2.5A 食ってた実績からみて、以前に爆発寸前にまで太らせてしまったペアも同じ程度のバラツキだったと仮定したら、最強 4A 充電時には・・・


 4A × (2.5A÷3.2A) = 3.125A


 なんと、9AH×0.3C=2.7A で私が勝手に 0.3C まで大丈夫だと言ってた上限すら大きく超えているではありませんか!


 もちろんペアにする前に、念のため開放電圧を測って 0.1V 以下の違いであることを確かめてますけど、これほど内部抵抗に違いがあるとは驚きです。
 一緒に届いたから、てっきり双子の兄弟だと思ってましたけど、そこが大違い!


 私の場合は並列使用ですんで、電圧は一定で内部抵抗の低いバッテリー側へ大量に電流が流れ込んでいます。
 正規のUPSの使い方の場合だと直列ですんで、電流一定で内部抵抗の高いバッテリーに過電圧がかかる計算になります。


 秋月のデータシートを引用して、いっぱいいっぱい急速充電しようとする私が悪いのですが、並列にせよ直列にせよ、値段的に怪しさが漂ってるバッテリーをセットで使うときには、内部抵抗がそろってるか事前に調べておかないと危険ですねぇ
(もしくは、かなり余裕ある充放電設計をするか、バッテリー毎に充電制御するか)


 開放電圧(起電力)はテスターで簡単に測れますが、内部抵抗はちょっと面倒です。。



 根本解決には至らないのですが、とりあえず最大充電電流(電流リミッター)を 4A から 3A に引き下げて、しばらく様子見してみることにします。
 問題なさそうなら、完成形 MPPT 充放電器の回路図を公開しますので。(最大で鉛蓄電池2直列 7.5A まで)


(追記)
 リニューアル版を車の中で一晩充電させっぱなしになってたら、翌朝も14.9Vかかったまま。

  • 充電電流が 0.3A を下回ったら満充電と判定し、最大 13.8V の「いたわり補充電モード」に移行

が機能してなかったぁ〜


 満充電になると充電電流が減る特性を狙って急速充電を終了させるつもりでしたが、この辺のチューニングが秋月 12V12AH のときのまま。
 今回の 12V9AH×2(並列) の場合、翌朝にもしっかり 0.5A ほど流れたままでした。


 内部抵抗のバラツキのほかに、「0.3Aを下回ったら充電完了」という判定ロジックの致命的なミスが重なって、度重なる過充電の繰り返しでバッテリーを膨らませてしまった模様。

  • 充電電流が 1A を下回ったら満充電が近いと判定し、13.8V の「いたわり補充電モード」に移行

に変更して、またまた様子見します。