パケ死マシン化を突き進む携帯電話機

 各社秋冬モデルの携帯電話が出そろった。
 それほど深い造詣はないので他社の動向を含めた広範な事情は知らないが、ドコモ(自分の使ってるキャリア)に関しては全ての機種が FOMAハイスピード(HSDPA)対応 の端末となった。しかも最大7.2Mbpsの通信速度を有するものが大部分だ。


 「対応」と書くと単に選択肢が広がった話と受け止められがちで悪いイメージは沸かないと思うが、個人的には「恐ろしい」の一言に尽きる。話によれば対応エリア内では、「FOMAハイスピードを利用しない」「FOMAハイスピードを無効にする」という選択肢は用意されていないらしい。


 うちの親も60を過ぎてケータイなんぞ持っているけれど、「メールもしない」ということで、iモードにも加入せず、通話にしか使っていない。(以下、ドコモを例に書くけれど、サービス名が違うだけで他キャリアも同じこどか言えると思う)


 よって、うちの親に限定すれば、「全ての機種がFOMAハイスピード対応」となっても何も変化はないわけだが、うちと違って、60を過ぎた人でも相当数の人はメールくらいは使ってるだろうと思う。
 メールを使うにあたってはiモードを契約しないといけない。「メールのみ」の場合であっても、iモード契約が必要になっている。


 高齢層を中心に「iモード契約のみ」「パケット割引プランはなし」という人は相当数を占めると思うが、7.2MbpsなFOMAハイスピード対応端末を所有すると、ちょっとした不注意8万円/分 もの料金を発生させる恐れがある。
 10分間で80万円である。


 メールに添付されたリンクを踏んだ先が動画サイトだったりして、「無料」という名の下に特別な警戒心なくサイト内を徘徊でもしてしまったり〜というケースである。


 確かに、パケット課金システムに対する不勉強が招いた結果であるので「自業自得だ」という人もいるとは思うが、契約上のちょっとした不注意・ミスで毎分8万円もの請求を受ける可能性のある日常用品って身の回りに存在するだろうか?


 ドコモの客センにそういうことを相談すると、「パケホーダイに加入すれば、そういう万一の心配もなくなります」と言われる。
 拳銃を販売しているメーカーが防弾チョッキを奨めているようなセリフだ。
 これで納得してしまう消費者も狂ってる。


 具体案??


 (悪意に満ちた)電車のキセルですら正価の3倍請求だ。
 「無断駐車○万円」という看板も法的には無効で実勢価格の3倍程度が請求上限だ。
 それならば、パケット割引プランの契約ミスも正価(パケホーダイ上限金額)の3倍請求で頭打ちにさせるべきじゃないかい?
 もしくは正価の3倍に達した瞬間でケータイキャリアの判断でパケット通信を即刻遮断して、お客さんを守るべきじゃない??


 基本的に、パケホーダイを契約せずにFOMAハイスピードを利用することは恐らくドコモ自身も想定していないと思う。
 大量のパケット通信をする予定がないという理由でパケホーダイを契約しない人であっても、「FOMAハイスピードを使わない」という選択はできない。
 だけどパケットを大量に使わない人に取っては百害あって一利なしの「FOMAハイスピード」が付いた電話機しか売ってない。


 説明書等には小さい字で「短時間に大量のパケット通信を行う可能性があるので注意して下さい」としか書かれているだけだ。
 注意って一体なに??
 クリック後に予想される通信料金が表示されるわけでもないのに、どうやって注意しろというのか。
(その辺に心得のある人であっても通信量の予測は難しいだろう)
 パケットを大量消費する予定がない人に対しても、万一に備えてパケホーダイに加入しろ、てこと???


 こんなドコモのパケット商法が大嫌いなので、自分は「パケット割引プラン」を契約する気にはなれない。
 本当は危険なiモードも解約したいのだけど〜
(ごく稀にGPSに連動させて地図表示させてみる以外にはメールにしか使わないので)


 だから、注意点を説明しきれる自信がないので、うちの親にはiモード契約を奨めれない。
 不注意によって老後の生活費をドコモに巻き上げられたら大変だ。


 こうした無茶苦茶な商法にこそ消費者庁はメスを入れるべきではなかろうか。



追記
iphoneを使用して、20万ぐらいの請求が来ました。
 この辺も・・

 パケット商法は法律には反していないとはいえ、社会通念上の常識を逸脱してます!!


追記②

 

 社会通念上の常識を逸脱していると思える携帯電話会社におけるパケット商法ですが、これは、学生に対して与信限度額無制限まクレジットカードを配布しているのと同じ。
 パケ死で「払えないから助けてくれ」と言ってきた契約者に対しては支払を免除するが、支払能力のあるパケ死者(手段を選ばず金を集めてきた人)に対しては普通に払っていただく、そういう商売だ。


 東1の企業たるもの、本来はプライスキャップ制を導入すべきだ。
 「プライスキャップ制」と書くと意味が分からないかもしれないが、いわゆる「ガソリン1000円分」という話である。
 1000円分のガソリンを入れてくれ(それ以上を給油しても払わないよ)という注文方法である。


 パケット料金などというガソリンよりも定量的な判断のできないものを扱うからには、そういう「○円分」という料金体系があって本来は然るべきだ。
 契約時に申告のない人は1万円/月くらいをデフォルトにしておく。
 月半ばに1万円を越えたら、携帯電話会社が通話・通信を遮断すればいい。
 これだけでパケ死なんて言葉は日本から存在しなくなる。


 1万越えから遮断までの時間にかかったパケット費用は、当然に携帯電話会社が負担だ。
 そう書くと、1万円分ピッタリで通話や通信を遮断することは技術的に難しいと主張する社員が沸いてくるが、そんなことは携帯電話会社が頭を使うべき話だ。
 ガソリンスタンドで1000円分と頼んで、実際には1050円分相当のガソリンを給油してしまったとしてもスタンドは1000円分の請求書を渡してくるだろ?
 それが普通だ。


 携帯電話サービスでも同じ。
 10000円キッカリで遮断できる会社もあるだろうし、10010円になった時点で遮断できない会社もいるだろう。
 その辺は精度と必要経費のバランスで携帯電話会社が考えたらいい。
 客が1万円分と言ったら、それだけの話だ。誤差はどーでもいい。最終的に払う金額は1万円だ。
 携帯電話会社が1円でも損したくないと思えば10001円に達する直前に遮断すればいいし、1000円くらいはシャーナイと思えば11000円までに遮断すればいい。
 そもそも利用者側でパケット料をリアルタイムに判断できないわけなので、携帯電話会社がやってくれないと手も足も出ないわけだ。


追記③
 続き記事を書きました。