ホイさん仕様 過放電防止回路

 前に書いた 簡単だけど、まじめに過放電防止 (ちゃんと温度補償)ペンネーム「ホイさん」からコメントを頂きました。

はじめまして。
過放電防止回路で検索してこちらのサイトに辿り着きました。
電源を24V(バッテリー2個直列)で過放電防止(2系統)&逆接続防止したいのですが、知恵をお貸し下さい。

屋外使用で、バッテリー(充電装置なし)を2直列24V(13.8×2=27.6) で、LED照明を使用します。
バッテリーの終止電圧を10.5V/本としたいので、
1系統目は、23.0Vでシャットダウン。(使用電流=5A)
2系統目は、22.0Vでシャットダウン。(使用電流=3A)
3系統目は、21.0Vでシャットダウン。(使用電流=4A)

シャットダウン電圧は、可変抵抗で±1Vで調節したいです。
自動復帰は不要です。

電源入力の直下に逆接続防止回路を設けたいです。
(逆接続時にブザーで警報を出したいです)

 リクエストはこんな風です。
 3系統それぞれで過放電の閾値(遮断電圧)を変えたいということで、この手のはディスクリートで組み立てるより、A/Dコントローラの載ったマイコンを使ったほうが融通が利くように思いますが、これも何かの縁・・・ってことで、私なりの回路案を考えてみることにしますね。


http://dl.ftrans.etr.jp/?07f1409962d642549ce7ff1e3703ef0a5a10e172.png


 あまり複雑化させないで簡単にやるんなら、こんな風かなぁ〜って感じで回路を妄想してみました。
 いちおハイサイドスイッチでして、GND は全て共通で大丈夫です。
 ただし実際に組み上げて動かしていない(つまりテストしてない)ので壊れたらゴメンナサイなのですが(笑)


 まず逆接防止ですが、単純にショットキーダイオード入れてあるだけです。
 このショットキーの部分を Pch な MOSFET に置き換えて逆接防止する方法もあるんですが、電流 20A とかの次元だと MOSFET の Rds が馬鹿にならず、2SJ334 あたりの Rds=29mΩ であっても電圧降下がショットキーダイオードと大差なくなってしまいますので、大電流を扱う回路で尚かつ今回みたいなハイサイドスイッチなら迷わずショットキーでいいんじゃないかと思います。


 ブザーは逆接したときのみ鳴るようダイオード経由してあります。
 秋月には 12V 仕様のブザーしか置いてないため、24V で壊れることがないよう抵抗を直列させて電流制限やってます。
 10mA@12V で鳴るブザーだったら 1〜1.5kΩ くらいを選択してください。



 次に本題の過放電防止の部分。
 基本的には 簡単だけど、まじめに過放電防止  のまんまで、3系統それぞれに過放電回路を用意しました。


 M51958B(RS/5個で305円) と Pch な 2SJ334 でハイサイドスイッチやってます。
(出力切替をリレーにするか迷いましたが、とりあえず MOSFET スイッチにて)


 24V 系のバッテリーを M51958B の電源に使うと瞬殺してしまうので、M51958B 向け電源を3端子で作ってますが、別に9Vである必要なく、〜15V くらいの適当な品で大丈夫です。
 NiMH電池とかの小電力な電池だと過放電防止作動後の自己消費も気になるところで自殺回路にしたいところですが、具体的なバッテリー容量の記載がないものの、数百Wの負荷を想定されている規模ということで、どう少なく見積もっても二桁Ahはあるでしょう。
 三端子の電力消費なんてバッテリーの自然放電に比べたら誤差レベルでしかないので、実用本位で無視することにします。


 2SJ334 のゲート付近のツェナーは、通電指示のときにゲート電圧が下がりすぎないようにするためのものです。
 通電指示のときは M51958B の OUTピン が GND に落ちているのですが、2SJ334 のソースがバッテリー電圧の状態でゲートを GND まで引っ張ると「VGS -20V」の絶対定格を越えてしまうため、12V なゲタを履かせて 16〜32V → 4〜20V というレベルシフト?やらせてます。
 

 「±1V 幅で電圧調整」は定数を求めるのが面倒くさかったので割愛(笑)
 多回転抵抗をクルクルやって追い込んで下さい。



 以上、こんなもんでどうでしょう?


(追記)2015/06/10
 ハイサイド PchMOSFET スイッチでなく、リレーを使ったバージョンも記事にしました。
 あと「そもそも論」で、M51958B などの リセットIC(基準電源内蔵コンパレータ) を使う必要性もないことに気がつきました。
 誠に恐れ入りますが、ホイさん仕様 過放電防止回路(リレーとオペアンプ) をどうぞ。