昇圧型 (簡易) MPPT 充電器の製作

 サウンドハウスの 12V9AH 並列を最初に膨らませてから コメントいただいたとおりに並列配線を見直したのですが、次に投入した 12V9AH 並列 も同等に膨らませてしまいました。
 そもそもバッテリーが粗悪品じゃないのか?という疑念は拭えないものの、並列よりは直列のほうがマシという話を聞きかじってきましたので、車載してるバッテリーも直列仕様に大きく変更してしまうことにします。
http://dl.ftrans.etr.jp/?b2135205354d49598c034945439d06dbb784718b.png


 ルーフキャリアに50Wパネルを載せた、ごくごく標準的な車載ソーラー発電仕様。


 以前にも少し書いたことありますが、このパネルの公称最大電圧が 17V 付近ということで、12V系 で使うには実に中途半端な電圧なんですよ、これが。。
 サイクルユースになるので充電電圧を 15V 近くにしたいのに、降圧DCDCでは電圧幅が少々足りません。
 シガーソケットから補充電する場合であっても同様に電圧が足りないため、いったん「車でノートパソコン」みたいな昇圧アダプタで 19V 付近にあげてから降圧DCDCして充電という、「上げて下げて」という無駄なことやってました。


 ひとえにバッテリー電圧が近接してることの弊害なので、いっそトラックの如く 24V 仕様にしちゃえっ話です。


http://dl.ftrans.etr.jp/?657bf561a7e84f4fbe3eeffb3baf61333b5933f4.png
※クリックすると等倍で見えます


 基本的には前回ご紹介させて頂いた降圧版の 1000円+で作る 100W 級 MPPT 充電器 と大きく変わらないので細かい作動原理等々は前回のを読んで頂くとして、差分だけ軽く説明します。
 非同期式昇圧チョッパなので終段のショットキーがバッテリーからの逆流防止を兼ねてくれるため、追加のショットキーを追加しないで済むし、DCDCのスイッチングには何の造作もなく Nch な MOSFET を使えるため(XL6009の中身の話だが)、一般的に降圧式よりも高効率を狙える気がします。


昇圧DCDC は アイテンドー M6009-S をチョイス



 17V前後(〜22Vくらい)の電源ソースをバッテリー充電に適切な電圧まで引き上げる昇圧モジュールに、アイテンドーのモジュール品 M6009-S(580円+税)を選択しました。


 こいつは中身が XL6009 というチップでして、電圧制御(MPPTおよび過充電防止)をするのに最適な EN ピンなるものが備わっているのですが、モジュール基板上で電源ラインと繋がっていて「常時ON」という状態になっています。


 パターンカットしようにもパターンはピンの裏側に回り込んでいてカット困難でして、もしやるんなら XL6009 のピンを折って基板から浮かせる方法しかありません。
 それはそれで悪くないのですが、FB ピンを誤魔化してやっても同様の動きになるんじゃね?ってことで試したら、実際うまくいったぽいのが本回路図です。
 DCDC の動作を停止させたいとき、2SA1015 を使って入力電圧を強制的に FBピン へ印可してしまうという・・・
(ENピンの絶対定格は VIN まで大丈夫なので、壊れる使い方ではありません)



充電制御(電流制限回路)にローパスフィルタ構成



 たぶん FBピン を誤魔化す手法に出たせいだと思いますが、電流検知の FB が俊敏すぎて条件によっては発振気味な挙動に陥ってしまう気がするので、電流検知を緩慢するべく 100kΩ+0.1μF を電流センサの出力に付けました。


簡易MPPT の回路電源を入力側から



 MPPT の回路が使う電源 9V を、降圧式のときは出力段から取ってきたのですが、よくよく考えたら夜間は発電しないもんだから MPPT なんて作動する必要ありません。
 消費電流は僅かではありますが、日照とともに作動開始のほうがエコだと思うので、入力側に配置しました。


 立体駐車場に入れると電源を失って作動停止しますが、駐車場から出てきてパネルに日が当たると自動的にONになり、なおかつ MPPT 地点の走査も自動開始する、かなりいい感じになります。
 


リセットボタンに抵抗を



 回路図左下の付近が簡易MPPTやってる部分ですが、いちお数分おきに最適点の洗い直しを自動的に行うようになっているものの、それとは別に手動で「いますぐ」のリセットボタンを配置しました。
 発振周期をつかさどるコンデンサ電荷を抜くだけのボタンをリセットボタンと大げさに称してる次第ですが、頻繁に押すわけじゃないとはいえ、数百μFもの電荷をGNDにショートさせて放電させるのは辛いよぉ〜というタクトスイッチの気持ちに応えて、抵抗を直列してあげました。



 前回同様に「負荷」と書かれた先に過放電防止回路を経由して 24V→5V な DCDC が待ち構え、ルーターやら若松ネットガイガーやらに駐車中もずっと給電しつづけ、24h365d 測定値を記録しつづける(データは microSDクラウド)という風になっております。


 いつもと違って説明が簡素すぎますが、たぶん花粉のせいでしょう。
 必要最小限のことは記述したつもりですけど、気が向いたら、もう少し書き増ししますね。




(追記)
 アイテンドーの DCDC 昇圧モジュールの説明文には「最大出力電流:3A」とありますが、これはひとえにデタラメでして、正しくは「最大入力電流:3A」ですので、くれぐれも気をつけて下さい。
 

 XL6009 のデータシートによると電流制限保護装置(MOSFETのソース側にシャント抵抗があって、それで電流検知してコンパレータに帰還させる回路)が入ってることになっていますが、放熱が足りないこともあってか、ちょっと無理させると、ほんとバンバン破裂します。


 無理させないようにするか、真剣に放熱させるか、いっそ 10A くらいのモジュール に変更したほうがいいですね。
 ってか3つ目を破壊したところでアイテンドーを止めて、そのアマゾンのモジュールに換装しましたが。。。
 FBピンをごまかすという方法自体は一緒です。


 ちなみに、アマゾンでポチられる方は、DC 12V 24V 40V to 5V USB電源モジュール のほうもお勧めです。
 中国(香港か上海?)発送ぽいので10日ほどかかりますが、思いの外、悪くない感じです。


(追記)2015/10/15
 降圧バージョンのほうの記事に高専生からコメント頂きまして、その返信の中で少しだけ触れましたが、入力源にACアダプタは使わずソーラーパネルからの電気のみの場合で、かつパネルの最大発電量を受け止めるに十分な容量のバッテリーを組み合わせる場合には、充電電流を検知したり制限かけたりする必要がないので回路図の右下の充電制御回路は不要です。