CW-167DC はセリア800mAを超えた!
いきなり結論をタイトルに書いてしまうと面白みに欠けますが、もったいぶってても仕方ないので・・・
これまで絶賛してきましたセリア800mAですけど、コアウェーブ CW-167DC はセリア 800mA を上回る 100円USB充電器 である可能性が高いという結論に至りました。(DIPじゃないから改造には不向きだけど)
※今回は写真が物凄く多いので低速回線の方はコーヒーでも飲みながら表示を待って下さいませ
まず用意しましたは、可変安定化電源とテスター2個とオシロスコープ。
オシロスコープったって 秋月のキット(笑)、電源も 秋月の600円キット にアナログメーター(電圧計・電流計)を取り付けてタッパに入れただけのものですが、電圧調整のボリュームは キットより高価なもの に換装してあります。
入力側の電流変化を観察すれば概ね挙動がつかめるので、シャント抵抗の両端をオシロ測定することにします。
負荷は一律5Ω、入力電圧は 10V/15V/20V と3通りで測定してみました。
MC34063 のデータシートによればシャント抵抗の両端が 0.3V(300mV) になるとリミッターが作動するそうです。
オシロで測定された電圧はシャント抵抗の両端なので、シャント抵抗の抵抗値で割れば MC34063 が引き込んだ電流量が求まります。
ダイソー(自称)1000mA シャント抵抗:0.22Ω 負荷:5Ω
入力 10V | 入力 15V | 入力 20V |
セリア750mA (オーバーロード) シャント抵抗:0.25Ω 負荷:5Ω
ダイソーの自称1000mAとセリア750mAとは、どちらも負荷5Ωに対して大幅な電圧降下を引き起こしています。
電流変化を積分した範囲がインダクタへの充電電荷となりますが、ダイソーもセリアも、0.3V のリミッターにかかりまくり。
入力電圧が高いほど、短時間でリミッターに当たってしまうため、充電不足が顕著になってます。
スイッチング周波数の高いセリア750mAのほうが単位時間当たりの充電チャンスが多いので、リミッターかかりまくりとは言えどもダイソーより有利で、その結果は入力20V時の測定結果にも表れていますが、どっちにせよまともに充電できていないぽいことがオシロの波形から推測できます。
次に公称800mAながら、ほぼ1Aきっちり供給できてるセリア800mA
セリア800mA (オーバーロード) シャント抵抗:0.15Ω 負荷:5Ω
先の2品と違ってリミッターが作動してる様子はありませんが、電流の引き込みが少々緩い感じ。
インダクタへの充電サイクルでは入力10V時で 0.15V(=1A)で電流を引き込んでますが、理論デューティ比は50%であるべきところ80%くらいに達してるぽい挙動です。
早々にインダクタが磁気飽和しかかってる?
最後は コアウェーブ CW-167DC。
コアウェーブ CW-167DC シャント抵抗:0.15Ω 負荷:5Ω
4品の中では最もスイッチング周波数が低く 40kHz 前後かと思われますが、入力20V時は「電気が余る」とみえて、充電サイクルが間引きされます。(コンパレータが充電の必要なしと判断したと思われ)
ってここまで書いたあたりで、「おいおい、セリア800mA や CW-167DC は、15/20V 時のピークに 0.25〜0.28V くらい出てるじゃん。シャント抵抗0.15Ωから計算すると、1.6〜1.8A も吸い込ませてるぞ。MC34063 の吸い込み上限は 1.5A なんだからドーピングだっ」 っと意見も出てくるでしょう。
「シャント抵抗は0.2Ω以上にしろ」のレギュレーションに違反しているのは確かに感心できませんね。
製品名 | 公称出力 | 5Ω負荷(1000mA) | シャント抵抗 |
ダイソー自称1000mA | 1000mA | × | 合格、だがスペック詐称は論外 |
セリア750mA | 750mA | × | 合格 |
セリア800mA | 800mA | ○ | 違反 |
CW-167DC | 1000mA | ○ | 違反 |
確かに「シャント抵抗は0.2Ω以上にしろ」に対して違反してる製品だけが 5Ω負荷(1A供給) に合格してます。
果たしてドーピングなのか?
データシートのレギュレーションに合わせて、セリア800mA・CDW-167DC ともに 0.15Ω → 0.2Ω に交換してみてどうなるか、試してみましょうか。
1Ωのカーボン抵抗を5本並列にし、表面実装な抵抗チップの CW-167DC はこんな風に仕上げてみました。
(セリア800mA は元々が普通のリードで何の造作もないので写真は割愛)
セリア800mA (オーバーロード) シャント抵抗:0.2Ω 負荷:5Ω
入力10V | 入力15V | 入力20V |
コアウェーブ CW-167DC シャント抵抗:0.2Ω 負荷:5Ω
時間が経っても電圧降下はなく、0.2Ω 時でもリミッターに当たってる感じはありません。
もう・・・こんなことなら最初から 0.2Ω のシャント抵抗にしちゃえよ!
データシートに従っても余裕で 1A 供給できるのに、なんで 0.15Ω なんか選択したのでしょう。
0.2Ω に従っておけば、Ipk>1.5A でリミッター作動することになってるので、絶対定格を超えることはありません。
0.15Ω だと Ipk>2A になるまでリミッター作動せず、これは絶対定格オーバー。
つまりは破壊してもチップメーカーに文句が言えない使い方です。
5000円もする mbed が半壊した 原因も、0.15Ωなどという不適切なシャント抵抗が使われていたせいかもしれないと思うと腹が立ってきますねぇ。
負荷 3.33Ω の刑に処す!
セリア800mA (オーバーロード) シャント抵抗:0.2Ω 負荷:3.33Ω
入力10V | 入力15V | 入力20V |
コアウェーブ CW-167DC (オーバーロード) シャント抵抗:0.2Ω 負荷:3.33Ω
さすがにリミッターかかりまくり。電圧降下しまくり。
入力 | 10V | 15V | 20V |
セリア800mA | 3.66V | 3.47V | 3.39V |
コアウェーブ CW-167DC | 3.79V | 4.04V | 4.15V |
もうこれは コアウェーブ CW-167DC の勝ち、って判断してもいいですよね?
きっと トロイダルコイル(容量は 100μH でした) が威力を発揮してるんだと思います。
(ゆえに低いスイッチング周波数で効率を稼げている)
10分くらい通電させてましたが、どちらも破壊に至ることはありませんでした。
シャント抵抗をデータシートどおり 0.2Ω に換装したお陰で、0.15Ω のままだったら破裂していたかもしれません。
破裂に伴って MC34063 がショートモードになる可能性が高いのですが、セリアはショートモードに対してはノーマーク。
過電流に対しては入力側のヒューズが溶断するものの、入力電圧がそのまま出力されてしまう事態に変わりはありません。
それに対して CW-167DC のほう。ショートモード破壊を見越してか、出力部にツェナーダイオードが備えられています。
何Vのものかは不明ですが多分 5.2〜5.5V くらいのものでしょう。
その電圧を上回る過電圧時にはツェナーが導通になることを利用し意図的にショートさせ、入力側のヒューズを焼き切って出力側の機器を過電圧から保護する仕組みだと思います。
仕様を超えた出力のときも CW-167DC のほうが セリア800mA よりも頑張るし、万一のときの保護回路も CW-167DC のほうがしっかりしてます。
今まで セリア800mA をヨイショしてきましたけど、残念ながら(笑) CW-167DC のほうが明らかに上ですねー
追記(2015/07/03)
本稿で絶賛させていただいた コアウェーブ CW-167DC の補充のためミーツに行くと、コアウェーブがない代わりに違うパッケージの USB充電器が。
パッケージはセリアの残念品に、本体はダイソーに、限りなく近いイメージ。
陳列してる状態からしてみて「試しに買ってみるか」って気すら起きない先入観で、これはゴミ箱へ直行か・・・と思いきや
想像を絶した漢仕様ではあるものの、驚愕の事実が!!
続きは ミーツの新しい 1A USB充電器、あのダイソーと一緒かと思えば・・・ をどうぞ。