「ふるさと納税」が実にフザケた制度である事を分かりやすく説明してみる

 この時期になると話題になる「ふるさと納税」というものがあります。
 別に12月限定でなく通年でやっているのですが、個人所得の算定期間が1月〜12月で「締め切り間近」ということで騒がれているだけですが、言葉は聞いたことあるせよ、実際にどんな制度なのか御存知ない方が大半じゃないかと思います。


 一言で言えば

住民税の納め先を変更するだけで、
変更した額の30〜50%相当の物品がタダで貰える企画
(ただし企画への参加料として2000円だけ必要)

 これだけじゃピンと来ないと思うので、分かりやすい具体例で書きますね。

  1. 名古屋市に住む人が「某市(名古屋以外)へのふるさと納税・50000円分」をポチる。(クレカOK)
  2. 50000円が決済され、しばらくすると、お礼と称して アサヒスーパードライ が 5ケース届く。
  3. 名古屋市へ納める住民税は本来よりも 48000円 少なくなる。(既納分は還付)
  4. 50000円-48000円=2000円 の負担で、ビール5ケース(末端価格 25000円相当)が貰えたことになる。


 じゃあ、5万円などと言わず、ドーンと50万円を ふるさと納税 すれば、ビール50ケースが貰えるのか?って言いますよね。
 そのとおりで、実質負担 2000円 だけでビール50ケース(末端価格25万円相当)が貰えてしまう のです。


 それなら、50万円と言わず、ドーンと500万円を ふるさと納税 すれば、500ケース貰えるのか??ってなりますよね。
 そのとおりで、実質負担 2000円 だけでビール500ケース(末端価格250万円相当)が貰えてしまう のです。


 2000円 で貰い放題!


 「今すぐ全力で、ふるさと納税しなきゃ」ってクレカの限度額までポチる人が出てくる勢いなので先に忠告しますが、「2000円で貰い放題」という話には一つだけ罠があって、納める住民税の額に応じて限度額が定められているのです。
 2000円でビール500ケース(250万円相当)は住民税1000万円近く払ってる人のみ(所得にして1億くらい) の特権で、年収300万で色々と控除がついて住民税5万弱しか払ってない人は、2000円でビール1ケースしか貰えません。




※クリックすると画像の拝借元の役所に飛びます


 ビールの例でも分かるように、「納め先を変更する額」が多ければ多いほど、より多くのものを 実質負担2000円 で貰える制度なのですが、上の表のとおり変更できる額には上限が決まっていて、かつ所得の多い人ほど納付額に対する割合も増えるため、要は住民税の納付が多い高所得者ほど、極端に多くの物品を2000円で貰えるという風な仕組みになってます。

 おおよその目安を試算できるサイト例
 「ふるさと納税」還付・控除限度額計算シミュレーション


 太陽光発電の売電詐欺の実態が「売電してないご近所さんから強奪しているだけだが、そもそも最終的に儲かるのはパネルメーカーと工事屋のみ」という構図(詳報)であるのに対して、ふるさと納税のほうは「よその市町村から税金を横取りするために多額の経費をかけて、最終的に儲かるのは返礼品のメーカーと関わってる通販ショップのみ」という風。


 もし全員がやったら確実に破綻する構造的欠陥を持つ制度なのだから、国として推進しちゃダメでしょ?


 「他所の市町村から1億円を奪うため、5000万の経費をかける」という活動は自治体がやっちゃいけないと思う次第ですが、ホイホイと実行に踏み切っちゃう救いようがない公務員連中を見てると、すべからく解体して民営化すべき・・・って意見がまともに見えてきてしまいますねぇ

小学生でも思いつく疑問点を解消しないまま、見切り発車で始めてしまい、始めたら最後、もう止めれない

 原発(もんじゅ)と一緒で、国として病気ですな。
 あまりに末期的すぎて、もうすでに手遅れか・・?