アベノミクスによって日本の経済縮小が加速している

2013年貿易収支は過去最大11兆円台の赤字、初の3年連続赤字


財務省が27日に発表した2013年の貿易収支は11兆4745億円の赤字となり、3年連続で赤字を記録した。輸出は3年ぶりに増加したが、円安を背景に原粗油などのエネルギー輸入が増え、1979年の統計開始以来、過去最大の貿易赤字となった。
(中略)
輸出は前年比9.5%増の69兆7877億円。3年ぶりに増加した。ただ、数量ベースでは前年比1.5%減と3年連続で減少した。米国向け自動車や中国向け有機化合物が増加に寄与した。 輸入は前年比15.0%増の81兆2622億円で、過去最大に膨らんだ。原子力発電所の稼働停止により、原粗油や液化天然ガス(LNG)など、燃料の輸入が増大した。
(中略)
為替レート(税関長公示レート平均)は1ドル102.10円で、対前年比24.0%の円安だった。

 アベノミクスのお陰で自動車を中心に輸出額が9.5%も増えたのにも関わらず、化石燃料の輸入額の増大が足を引っ張って最終的に貿易赤字、その責任は原発停止に と言いたげな報道ですが、これも行間読みテストの一環。
 東大の入試なんて行間読み合戦みたいなものですから、さすがこの手の文才は官僚ならでは


 さて「原子力発電所の稼働停止により、原粗油や液化天然ガス(LNG)など、燃料の輸入が増大した」とありますが、実際はどうなのでしょうか。


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 原発停止のせいでどれだけ増大したのかと思いきや、まったく増加していないじゃないですか。


 アベノミクス(笑)が始まる前は1ドルの輸入決済に82円で済んだいたのに、いまは102円もかかるようになりました。
 つまり「燃料の輸入が増大した」が誤りで「燃料の輸入が増大していないにも関わらず円安のせいで」が正しいのです。


 我々庶民にとっては円安なんて百害あって一利なしなわけですけど、トヨタを始めとする自動車業界を「円安」で助けることで我々庶民も回り回って幸せになるはずというアベノミクス(笑)で、庶民の犠牲のうえに円安の恩恵を最大限に受けたはずの自動車業界はどうでしょうか。


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 1ドルの輸出決済で82円しかもらえなかったものが102円になることで価格競争力が強化されて販売増となるはずだというのに、全く輸出が増えていません。


 国際貿易の決済通貨は殆どの場合でドルですので、ドルベースで比較したほうが実態が分かるというもの。

年次 輸出額(百万円) 輸入額(百万円) レート平均 輸出額(万ドル) 輸入額(万ドル) 貿易収支(万ドル)
2012年 63,747,572 70,688,632 82.34円? 774,199 858,496 -84,297
2013年 69,787,657 81,262,175 102.10円 683,522 795,907 -112,385
増減 +6,040,085 +10,573,543   -90,677 -62,589 -28,088


 輸出入ともに減少。
 特に円安にも関わらず輸出減少が非常に大きい点を見逃してはいけません。


 円換算だと経済成長しているように見えますが、これは円という通貨の価値が下がったことを利用した為替トリックであって、実態としてはこの1年で経済縮小が急速に進行しています。


円安進行で輸出も減る誰も得しない円安 が始まっていることを警戒すべき。


 アベノミクス(笑)によって経済縮小している実態を見抜いた外資が円の価値をネガティブ評価し売建てシフトするで更に円安が進行し経済縮小に拍車がかかるという悪循環の様相すら感じます。