独立型太陽光発電 に UPS を華麗に組み合わせる(ノイズ対策) 中編
太陽光パネルの真下に設置した放射線量計がノイズを拾うということで調べていったところ、ノイズの発生源は独立型太陽光発電のインバーターとして使い始めた UPS(BN150S)で、こいつがバッテリー側にノイズを撒き散らし、MPPT充電器を経由して太陽光パネルまで達し、輻射されたノイズを線量計がカウントしているのだろう、という推論に達しました。(記事)
イメージ的には、こんな風です。
直流を示した黒線に重畳していると思われるノイズを黄色い点々で示してみました。
瞬間値で対地 ±100V 近くにも達しているように見える尖りピークを何とか潰したいところです。
まずノイズ対策と言えば真っ先に思い浮かぶのが TDKラムダ。
とはいえ単に思い浮かぶだけで、ノイズ対策に関しては(それ以外に関してもだが)全くの素人なので、良く分かりませんが、RSEN-2020 あたりポチって試してみますが・・・
結論・・・まったく効果なし!
あちこちで調べたら、この手のは専ら 数MHz帯 のノイズを狙ったものらしいじゃないですか。
御丁寧に回路図が刻印されていたので見てみますと、ぬぬ?コンデンサを経由させて接地??
調べると俗に Yコン と称されるものらしく、こいつ見て「コンデンサは交流を流す」ことを思い出しました。
直流の中の交流成分(ノイズ)をアースに落としてしまえばいいんですね?
4700pF のYコンでは効果ないんなら、もっと増やせばいいんじゃね?と思いつきましたので、早速ためしてみます。
まずはガイガー管で使うために買った 0.1μ/500V なセラミックコンデンサがあったので接続してみます。
Before | After |
おおー、これは効果ありそう!
ということで実装して翌日に様子をみてみます。
11月4日 は朝から天気が良かった日です。
8時台と10時台の小反応が気になるものの概ねいい感じ〜かと思いきや
陽も傾き始めた16時頃から単管パイプにてβ遮蔽してる側だけ突然に暴れ出しました。
(β遮蔽のための単管パイプがアンテナとして機能してしまってるぽい)
うーん、なんでだろう・・耐圧500V だから壊れたわけでもないだろうに容量が足りてないのかなぁ?
(後日記) コンデンサが破壊してました。
故障原因の特定もしないまま、耐圧あって容量が大きいもの・・と部品箱を探すと フィルムコンデンサ 1μF450V なんてものが出てくるではありませんか。
耐圧も十分だろうし容量も大きいぞ!ということで早速接続し、UPS のコンセントを引っこ抜いて停電にさせてみます。
Before | After(時間軸が合ってなくてすみません) |
うぉーー、物凄い効果だぁ
よし、これで完璧か?
そして翌 11月5日
ガイガーの測定値は、どこからでもブラウザで確認できるようになってるんですけど・・・
朝の9時といえば、ちょうど始動するくらいの時間帯です。
ずっとデータが上がってきてません。
一体なにが起きてる!?
そわそわしながら夜に帰宅すると玄関のセンサーライトが作動しないではないですか。
ぎゃあああああ 自宅全停電
冷蔵庫も含めて全滅です。
まず真っ先にブレーカーを確認してみますれば、主幹ブレーカーの横の漏電ブレーカー(ELB)が、ものの見事に落ちているではありませんか。
手動で上げてみても直ちに落ちますから、一旦サブブレーカーを全て落として ELB が落ちる系統を探してみますと、言わずと知れた UPS が繋がってる系統で漏電反応・・・
思い当たる節?
ええ、もちろんありますよ、前日の夜にYコンを 1μF にしてるではないですか。
UPS バッテリー側のナイフスイッチを遮断してやったら、ようやく ELB が上がるようになりました。
思い出した!
これ、絶縁されてないんだった!!
急いでインピーダンスを求めてアースに漏れうる電流量を計算します。
インピーダンス Z(Ω)=1÷(2×π×周波数×コンデンサ容量)
=1÷(2×3.14×60Hz×1μF÷10^6)
=2654Ω
もし接地抵抗100Ωだとしたら
電流 I(A)=V÷Z(Ω)
=100V÷(2654Ω+100Ω)
=0.036A (36mA)
もし接地抵抗1000Ωだとしたら
電流 I(A)=V÷Z(Ω)
=100V÷(2654Ω+100Ω)
=0.027A (27mA)
家庭用 ELB のトリップ電流は 20mA 前後くらいなので、テキトーに埋めてみたアースの接地抵抗が不明ながらも、お漏らしで漏電判定を食らったみたいです。
もし 0.47μF あたりでも無事にトリップしてくれたら、アース良好とみなしていいのかな?
なんと優秀な漏電ブレーカー様!
(後日記)
テストしてるとき ELB 作動しなかったのは UPS のコンセントを抜いて「両切り」していたためのようです。
私の製作した自動電源切替機 は片切りでしたので、非絶縁が災いして本番運用中にトリップしたものと思われ
- 大きなコンデンサを付ければノイズ削減効果は大きい
- 漏電電流も増えるので、効率面と安全面(アース線が外れた時に軽く感電)で問題がある
- しかも BN150S は非絶縁なので容赦なく漏電ブレーカーも作動してしまう
つまり不勉強を棚上げして、やたらと大きなコンデンサを付けようとするんじゃなくて、ノイズが抑えられる最小限度のコンデンサを探せ、ということですね。
またまた部品庫を探してみると、耐圧100V ながらも 0.047μF なるフィルムコンデンサが出てきました。
セラコンを使ったとき 0.1μF でも一定の効果があったので、半分でもいけるかな?とチョイスしてみました。
同様の計算で Z(Ω)=56467Ω、I=0.0018A(1.8mA) なので、漏電ブレーカーが落ちる心配もなさそうです。
Before | After |
セラコン 0.1μF 時よりは明らかにノイズが多いですが、問題ない範囲だといいなぁ
耐圧100V ってのが心許ないので耐圧の高いやつを探しに、できるだけ早くマルツへにでも買いに走りたいところですが、こんな感じで様子見してみます。
(追記)2014/11/11
11月6〜7日は 0.047μF/100V で無事に過ぎてましたが、同日マルツにて耐圧250V品を購入。
換装ののち翌11月8日の昼くらいから運用開始し、これにて一件落着か・・・と思いきや、そうは問屋は卸しませんでした。
4日目にして、またしてもコンデンサ破壊・・・
きっと耐圧不足の結果なのだろうと思いますが、いったいどんだけ耐圧が要るの?
出てくるノイズをアースに落とす対処療法じゃなくて、そもそものノイズを減らす努力をすべきなんだろうなぁ
あのリンギングはインダクタの逆起電力なのだろうから、スナバ回路ってやつを勉強しないといけない雰囲気。
うーん、素人には厳しいです。。
とりあえず「後編」→「中編」とタイトルを書き換えまして、たぶん格闘記が続くことになると思います。
追記(2014/11/26)
ノイズ輻射を無事に克服できた件を記事とした後編を書きました。