パケ死マシン化を突き進む携帯電話機(続)

 以前に パケ死マシン化を突き進む携帯電話機 という話を書いた。
 これまで、ドコモはパケット料金の二段階定額制を実施していなかったが、10月から提供を開始し、今月からは従来のパケットパックなどの受付を終了した。


 大量パケット(と言っても僅か10万パケット超の程度なんだが)を毎月確実に消費する人はパケホーダイという定額制プランを利用していたが、パケット消費に自制の働く人にとっては、0パケットでも定額課金されるパケホーダイに入るはずもない。
 そういう人は消費予定パケット数をもとに、パケットパックなし/パケットパック10/30 あたりを比較検討して、自分に一番得すると予想したプランに加入して、日々注意しながら利用していた。


 予定/予想/注意 を赤字で書いたが、この3つが常にうまくいかないと損してしまう。
 どれも人間がミスなく行いづらいものだ。
 時として予定が変更になったり、予想が外れたり、注意が不十分だったり、で、最悪の結末として数十万〜数百万もの債務を背負いんでパケ死するに至るわけだ。


 今回のパケホーダイ・ダブルは、上に書いたリスク要因によるパケ死を保険料980円/月でカバーします、というものだ。
 パケパック10/30が受付終了されたことから見ても、パケット消費は絶対に少ないと断言できる人を除いて、ほとんどの人が加入せざるを得ないドコモによる保険商品という面を併せ持つ。
 それとて僅か52500パケット(6.4Mバイト)で上限の4200円に張り付くわけだが。。。


 980円/月が固定収入増となり、なおかつヘビーユーザーからは従来のパケホーダイよりも300円も多く徴収できる。
 常識的に考えたら、大幅増収になるはずだが、なぜだか200億円の減益。


 なぜか?


 パケホーダイに入ってる人がパケホーダイ・ダブルに変更することで、3900円 → 980円〜 になるから?
 そんなはずはない。
 パケホーダイ・ダブルのパケット単価はパケホーダイの4倍なので、移行して安くなる人は、かなり少数のはずだ。
 パケパック10/30→パケホーダイ・ダブルによって安くなる人も、かなり少ない。(参考
 ドコモが損(減収)する = ユーザーが得する の構図が成り立つべきなのだが、大部分の人にとってパケホーダイ・ダブルは得しない。


 それじゃいったいなぜ??


 予定が変更になったり、予想が外れたり、注意が不十分だったり、というユーザーに数万円〜数十万円の請求書を送るチャンスをドコモが失ってしまうからだ。
 パケホーダイよりもパケホーダイ・ダブルの方が増収になるはずなので、その増収分を相殺してなお200億の減収という話。
 よっぽどパケ死(かすり傷を負った者を含む)から儲けているのだろう。


 平均客単価が5500円程度と言われるが、ひとたびパケ死者が出れば携帯電話会社は大儲けなのである。
 誰かヘマをやって数十万使ってくれれば、それは100人分の売上。こんな棚ぼた商売ができる業種はおいそれとない。


 消費者センターに寄せられたパケ死の被害相談、ドコモがよほど多かったから、二段階定額制を始めるに至ったのだろうか。


 ただ、これでも「パケット消費は絶対に少ないと断言できる人」がパケ死に逢うリスクを伴う。
 パケホーダイ・ダブルには毎月980円の保険料がかかるからだ。
 限られたメールしかやらないから、と言ってケータイを手にした高齢者が危ない。
 新しい機種を買えば、分速8万円のリスクを背負い込む。


 自社の提供する通信サービスに「(経済的に)死ぬリスク」が存在するから、それをカバーする保険商品を発売する携帯電話会社。
 どっかが狂ってると思うのは自分だけじゃないはず。


 パケホーダイ・ダブルの最低料金は「無料通信分」と称しているが、保険商品に無料通信分なんていらない。
 最低料金0円(無料通信分も無し)で、iモード契約者全員に自動付帯でいいんじゃないのかい?
 それでパケ死なんて存在しなくなる。
 「あんしんdocomo」の完成だ。


 携帯電話会社に言えば「損する」と言って反対するだろうが使う言葉を間違えている。
 そういうのは「儲け損なう」と言うのだ。


追記
 パケ死関連で追加