テレビのない生活

 実は数年前から、テレビとの縁を切った生活をしている。
 捨てるにもお金がかかるので、テレビ自体は部屋に鎮座しているのだけれど、ここ5年ほどは全くスイッチに触れていない。


 確かにトレンディドラマやCMの話題にはついていけなくなったし、有名人や芸能人と言われている人たちの名前も分からなくなった。
 だけど、それだけの話。


 テレビを見ていた当時の夜9時の番組を待ちわびた、あの気持ちは何だったのか、今では全くもって思い出せない。
 「見たい」という衝動も今やない。


 だから夜がゆっくりと流れる。
 テレビをつけないだけで、澄んだ素敵な時間が増えた。


 あるある大辞典の、どれか真実でどれが捏造だったのか、そんなこと気にしすらしない。
 5分で説明できることを50分の番組に引き延ばされ、それに付き合わされることもない。
 「先入観を埋め込むこと」が目的化しているCMと、精神力対決する必要もない。
 聴覚障害者むけ番組編成でもないのに、喋った言葉の一部だけ字幕スーパーにされて、目と耳の両方から脅迫を受ける苦痛もない。


 2011年を期に、これまでのテレビは使えなくなる。
 素敵な時間をゲットしたい人には、またとない機会になるんじゃないだろうか。


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