前編 を書いてから、だいぶ間が開いてしまいました。
お待ちになってた方がおられるか分かりませんけど、どうもすみませんでした。。
自作の PoE HAT の最終版をアップします。
48V からの降圧 DC/DC は、あまり一般的じゃないですけど、LM2596HVS をキーワードにして出てきたもの あたりが安直な候補となると思いますが、とりあえず出力は 5V にして下さい。
ちゃんとした 802.3af じゃない、なんちゃって PoE だったら、その電圧に合ったものを選定して下さい。(48V に拘る必要もないと思われ)
LM2596HVS を使う場合、ほぼフルロード状態となり DC/DC が壊れないか心配になってきます。
万一にも壊れたときには、かなりの確率でショートモード破壊を引き起こし、ラズパイへ 48V がモロに印可される事態になりますため、安全を期して過電圧防止回路を追加しました。
DC/DC の後段がそれで、サイリスタのベースをプルダウンしつつ、ツェナーにより過電圧を検知したら電源をショートさせ、上流に位置する 0.5A なヒューズを焼き切るという算段です。
秋月でも扱いのあるX0202MA の場合、ゲート:0.9V〜 でサイリスタが導通になりますので、5.1V のツェナーと組み合わせることにより 6.0V が作動の閾値となります。
5.6V のツェナーは、通電直後の過渡期にサイリスタが誤作動を防止するためのものです。
もっと素性のいい DC/DC だったら不要かなと思いますが、LM2596HVS だと ON 直後の 数百μs〜数ms ほどの間だけ設定を超える電圧が出てしまいサイリスタが作動してしまう事態に見舞われてしまったため、ツェナーでごまかしました。
ショートモード破壊を引き起こしたときには、サイリスタの保護が作動する前に、この 5.6V ツェナー に大電流が流れます。
前段のヒューズが焼き切れるまでツェナーが持ち堪えてくれればサイリスタは作動しませんが、完全に定格を超えた状態なので、ヒューズよりも先にやられることを想定してサイリスタを使ってます。
「中華の安物じゃなくて、まともな DC/DC を使うのでショートモード破壊への保護は必要ない」という方は、この辺をばっさり切って下さって大丈夫です。
ブリッジダイオード前の 25kΩは、 802.3af インジェクタに対して「対応してるよ」を知らせる合図となります。
ブリッジダイオードの後ろに1つだけで済ませることでも合図は成立するのですが、一般的に DC/DC の入力側には大容量なコンデンサが付いていて、うまく合図が伝わらない場合もあるため、ダイオードの上流側に設置してみました。
25kΩ という半端な数値の抵抗を持っておられない人も多いと思いますが、24kΩでも動いたことを書き添えておきます。
27kΩ は試していないですが、レギュレーションから外れているので厳しいかもしれません。
なお給電側が「なんちゃって PoE」の場合は、そもそも合図もクソもない(対応機材かどうかの判断なく常に給電しようとする)ので、25kΩがあってもなくても無視されます。
ラズパイ側 5V は写真のとおり PoE コネクタから離れたところに位置します。
PoE ピンヘッダを 4ピン→6ピン にして、その増やした2ピンに 5V/GND を割り当ててくれたら良かったんですけどねぇ
ラズパイの中の人、なんでこんな残念なデザインにしたんだか。。
(注意)
写真に写ってる PoE インジェクタは MAX5984AE を内蔵した正規の 802.3af インジェクタです。
aliexpress で$20で売られてました が、それより極端に安いもの($15とか)のは、外観は一緒でも中はスカスカな「なんちゃって PoE インジェクタ」である可能性が高いです。
「なんちゃって PoE インジェクタ」であっても、PoE 対応の受電機器と繋いで使う場合には何ら問題ないですが、事前ネゴがないため、PoE 未対応な機器を繋いだ時であっても常に給電してしまいます。
中にはインピーダンス整合のため RJ45 内で 75Ω でプルダウンされているものがあり、そーいう未対応機器に「なんちゃってPoE」を使うと 75Ω の抵抗が発熱し焼損の恐れすらあります。
(たいてい 75Ω×2 を経て繋がる結果になるので、48V÷150Ω=0.32A、48V×0.32A=15.36W)
くれぐれもご注意ください。