手放しで喜べない携帯電話会社の IPv6 導入

日本国内携帯3社、2017年度中にIPv6導入


IPv6導入が世界中に進んでいますが、日本国内では2017年中にIPv6導入が一気に加速しそうです。


NTTドコモは2017年4月頃からIPv6導入


昨日、NTTドコモ端末でのIPv6利用が2017年4月頃より開始されることがTwitterで発表されました。


続きは こちら

 アドレス空間の枯渇が懸念されていた IPv4(約43億アドレス分)の後継として、以前からIPv6(1844京の1844京倍=340澗アドレス分≒ほぼ無限)が検討されてきたものの、なかなか普及しませんでしたが、いよいよ導入されてしまいそうです。


 なんで「されてしまいそう」ってネガティブな単語を使ってるのかって??
 技術面では歓迎すべきことだとは思うんですが、個人的には(私が利用する端末に限っては)、なるべく使いたくありません。
 IPv4 のままがいいんですよ。


 なぜ、こばさん は IPv6 を使いたくないか


 前述通り、IPv4アドレス空間が狭いため、少ないアドレスを多人数で共有して利用する手法が確立していました。
 企業を中心に固定アドレス(43億アドレスのうちの幾つを占有する)の利用もありましたが、大部分は接続のたびに「空いてるアドレス」が貸し出される可変アドレスです。
 携帯電話など、特に端末数が莫大な場合は「貸し出される可変アドレス」でも足りず、1つのアドレスを何百人(最大で約6万人)もで同時利用できる機器が導入され、少ないアドレスを有効に使って枯渇を先延ばしする仕組みが構築されていました。


 アクセス先のサイトではアクセスログを記録していることがほとんどですが、そのときに記録されるアドレスは「共有されているアドレス」です。


 今回、IPv6 で無限のアドレス空間が利用できるようになると、地球人口が100億人になっても、1人あたり3穰個のアドレスが利用できるほどに膨大なアドレス空間ですから、「何百人もが1つのアドレスを共用できるようにする機器」なんてものは必要なくなります。


 アドレスを共用するなどという貧乏くさいことをやらないで良くなります。


 ドコモの場合、240a:6b::/32 というアドレス空間が割り当てられたそうです。
 「::」は途中の 0000 を省略する意味ですが、これだと実感が沸かないので、省略せずにアドレス空間を表記すると

240a:006b:0000:0000:0000:0000:0000:0000 〜 240a:006b:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff

で、アドレス数は 79,228,162,514,264,337,593,543,950,336 個にもなります。
 ドコモの割当枠だけで考えても無限と言って良いですから、共用なんて貧乏くさいことをやる必要がないでしょ。


 あとはドコモが、どういう運用をするかに依りますが、そこは開示されていないので、以下は憶測全開で話を進めます。


 たとえば私がドコモのスマホを契約したとします。
 ドコモは無限と言っていい莫大なアドレス枠を持ってますから、当然にして複数の利用者でアドレスを共有するなんてことはやりません。
 「アドレスの空き」から振り出すなんてこともやる必要ありません。


 いちいち面倒くさいので最初から「こばさんには 240a:6b::1234/96 をあげる」みたいな運用をしてしまうかもしれません。

240a:006b:0000:0000:0000:1234:0000:0000
   〜 240a:006b:0000:0000:0000:1234:ffff:ffff (43億アドレス分)

 こばさん に43億アドレス分も!!??って驚く人が大半だと思いますが、1人の個人に43億アドレス分ずつ割り当てたってドコモは 1844京人分の枠を持ってますから、/96(43億アドレス分)で割り当ててもビクともしません。


 こばさん は割り当てられた 43億アドレスのうち、どのアドレスも自由に使うことが出来ます。
 43億アドレスのうちの具体的にどれを使うかは、スマホの中のソフトがテキトーに決めるとは思いますが、IPv6 とはこういう途方もない次元なのです。


 どのアドレスでも自由に使えるとは言いましたが、アドレスの先頭は常に 240a:6b::1234/96(240a:006b:0000:0000:0000:1234)で始まるので、アクセスログを記録しているアクセス先のサイト主が見ると「ああ、また 240a:6b::1234/96 が来たか」という風になります。


 この時点だけでは個人の特定までは出来ませんが、そのサイトが通販サイトだったりして、以前に注文したことがあれば、ログインしてなくても 240a:6b::1234/96 = こばさん が来た、という風に個人を完璧に特定することができます。


 また「240a:6b::1234/96 = こばさん」という情報が違うところに渡れば、個人情報を入力したことのない他のサイトであっても「ああ、こばさん来た」って風になりますし、時間軸が反対であっても「ああ、こばさんが来てたのか」と話は一緒です。


 そこまで行くと匿名掲示板なんて怖くて近づけないですね。
 なにを閲覧したか(との分野に興味を持ってるか)まで、すべて特定されちゃいます。


 クッキーを削除しようが端末を初期化しようが買い換えようが、通信回線に紐付いている IPv6 アドレスが変わらなければ、ずっと「240a:6b::1234/96 = こばさん」のままです。


 運用次第では マイナンバーよりも遙かに恐ろしい


 それが IPv6 です。
 グーグルは大喜びですし、その他の中小ストーカーはもちろん、政権批判を監視したい政府関係者たちも大歓迎でしょう。
 さて、みなさんは導入を歓迎しますか?


 携帯電話会社が契約者に対して IPv6 の枠を振り出すにあたり、第三者から類推されることのない全く独立したアドレス空間を毎回ランダムに振り出すのかどうか、運用方針を見極めてからでないと怖すぎて使えたもんじゃありません。
(ストーカー被害の防止のためにも、利用者から固定化の要求がない限り、可変処理(匿名化)を義務づけるべきと思う)


 導入以前に、先に法整備が必要と感じるほどに重要なことだと思うんですが、なんでスルーなんでしょう。
 マスゴミは馬鹿だから理解できないまま踊ってると思うけど、総務省の官僚たちは遙かに利口だから、すべてわかったうえで黙ってる気がしますけどねぇ