北陸新幹線に冷や水をかけてみる

 次々と寝台特急が廃止されるなか、北陸新幹線が本日開業。
 テレビがないので分かりませんが、きっとネガティブな意見は絶対禁止の雰囲気のもと、歓迎一色の報道が続いていることだろうと思います。 北陸出身者として少々辛口の意見を。


 ラジオて聞くところによると、金沢−東京 の所要時間は2時間半とのこと。
 てっきり2時間を切るくらいかと思っていたのですが、かなり遠回りするみたいですね。
 調べたら距離450kmだそうです。


 北陸の人たちが東京へ(急いで)行くとき、いままでは米原経由の東海道新幹線だろうから、かなり早くなるじゃん・・・と思っている人は恐らく北陸の人ではないでしょう。
 それは、急いでない人が選択するコースです。


 ビジネスで東京へ行く人は、もっぱら小松空港から羽田へ飛びます。
 フライト時間は1時間で、搭乗手続きを含めても1時間半。
 定期便は1時間おきにあります。


 北陸の人は電車で移動する習慣が殆どないので、新幹線に乗ろうとするにあたり金沢駅の付近に車を駐車しないといけなくなりますが、ただでさえ少ない金沢駅周辺の駐車場が更に混雑し、かつ駐車料金も高騰するのは目に見えてます。
 対して小松空港の駐車場は混雑とは無縁な地にあって広大かつタダ同然です。
 新幹線の料金は約14000円なので、各種割引される前の定価の飛行機よりは安いですが、定価で飛行機に乗る人は皆無なので、駐車場代を考えたら差はほとんどなくなります。


 家族旅行で新幹線を使えば一家で10万突破コース。
 だからディズニーランドへ出かけるなら以前どおり車で(深夜バスで)行く人が大部分でしょう。
(しかも開演時間前からゲート前に並ぶという時間には新幹線では着けない)


 リニアもそうですが、金に糸目を付けない人たちの価値観だけで動いているんですよね。
 名古屋から東京までリニアが開通すると1時間になるとか言ってますが、「むしろ2〜3時間かかっていいから5000円にならないか?」という需要を完全に無視しています。
 「金に糸目を付けない人たち」にとっては「青春18切符」などという切符の存在自体が理解できないと思いますが、あれは60万枚以上も売れているんですよ



 北陸は車がないとどこへも行けないので、兼六園から足を伸ばそうとするとレンタカーが必要になります。
 金沢駅でレンタカー借りるのと小松空港で借りるのと、どちらがラクでしょう?
 そりゃ高速道路まで5分、渋滞皆無な小松空港でしょうね。



 今回の新幹線開業にともなって北陸本線は寸断されてしまいました。
 どんどん解体されていって本線と名乗るのも無残な信越本線と同じ運命を辿ることでしょう。
 

 金沢−富山、福井−富山 という域内交通を考えたとき、金沢以東は第三セクターになってしまって直通の特急列車も廃止。
 在来線(三セク)乗り継いでいくか、新幹線で片道・2810円(金沢-富山) のどちらかしかありません。


 もう笑うしかありません。


 最初の1年は物珍しさで混雑するでしょうけど、ブーム過ぎたら賢明な人は元通り 小松−羽田 15000円の切符を買うようになりますよ。


 金沢は終着駅なのでマシですけど、富山は悲惨ですね。
 大阪・米原方面からの直通特急が廃止され、金沢で乗換えを余儀なくされるうえ、富山−金沢の移動は三セクか新幹線の二者択一ですので、よほどのことがないかぎり(新幹線を組み入れた周遊切符でもないと)途中下車する(or 大阪方面から足を伸ばす)気は起きないでしょう。


 そもそも、北陸三県は東京よりも大阪とのつながりのほうが強かった地域なのですが、富山から大阪まで、いままでは始発の特急を使って大阪8時着が可能だったものが、新幹線が来てしまったせいで最速9時半に。
 開場と同時に USJ に飛び込むことも不可能になりました。


 確かに東京へは近くなりましたが、大阪が遠くなりました。



 福井へも延伸とか言ってますが、福井の人たちは東京に近いよりも大阪に近いほうが便利なので、金沢の人たち以上に新幹線を利用しないですね
 大阪・名古屋まで2時間しかかからないですし。


 新幹線が福井まで来たとしても、たぶん東京まで3時間でしょうから、小松空港を使わない米原まわり「ゆっくりコース」と一緒です。
 金沢の人たち、富山同様に始発で大阪着が8時→9時半 になってしまうこと、さすがに分かるでしょうから、延伸に対しては猛烈な反対運動を繰り広げるでしょう。


 北陸本線もバラバラになりますが、北陸の人たちの「絆」をもバラバラにしてしまう新幹線


 どう好意的にみても黒字になりようがないと思いますが、まさか赤字で税金補填とか、変なことやらかさないでしょうねぇ?


(追記)
 高校生の頃、東京へ用事で一人旅したことがあるのですが、往復+首都圏の在来線1週間乗り放題が組み合わされた周遊切符「Q切符」を使いました。
 急行列車までしか乗れないというものでしたので、電気機関車が牽引していた頃の急行能登(489系に変わる前)を使って往復しました。


 値段は確か10300円だか11300円くらいじゃなかったかなぁ。(300円という端数が記憶に残ってる)
 もの凄いコストパフォーマンスが良かった切符だったと思いますが、Q切符、今では売ってないんですよね