法人税率を引き上げたほうが景気回復する
さて本日夕方にも、消費税の増税と法人税の引き下げとが発表されますが、(私は自民党に投票していないながらも)衆議院選で決まった民意ということになっているので、これらを公約に掲げていた自民党に投票した方々は今回の消費税増税と法人税減税を大いに喜んでおられることでしょう。公約の実現、おめでとうございます。
さて表題で 法人税率を引き上げたほうが景気回復する と書いてみました。
極論ですけれど、法人税の仕組みを知っている人にとっては、ある意味で常識ではないかな?と思ってますが、どうでしょ。
法人税とは企業の利益に対して課せられる税金です。
個人の所得税とは違って、企業の売上に課せられるのではなく、利益に対して課せられる税金です。
つまり利益が少なければ少ないほど、仮に10億円の売上があっても10億円の経費を使って利益がゼロであれば、法人税はゼロ、という仕組みのものです。(一定規模を超える企業は外形課税で固定で、利益ゼロでも僅かに税金を納めますけど)
個人の収入に対して課せられる所得税と違って、利益に対して課税される法人税ですから、法人税率が少々高かろうが、経費を使えば使うほど実際に支払う法人税額は減る性格のものです。
出そうな利益の大部分を期末間際に特別賞与として社員に配分する会社が納める法人税額は限りなくゼロに近いのです。
法人税とは、企業が利益を使い切ることなく、残してしまったことへの罰金
企業ってものは、全力で経費を使わないといけない宿命なんです!
今期は利益が出てしまいそうだ。
法人税で取られるくらいなら古くなった社用車を買い換えようか。
来期の士気高揚のため従業員にも特別賞与を配ろう。(社員への賞与は損金算入)
これが本来の経営者のあるべき行動なのですが、法人税率が十分に低いと
留保(使わずに利益として申告)してもさほど税金で取られないなら、できるだけ使うことはやめよう
古くなった車もあと2年は使わせよう。どうせ運転するのは俺じゃなく従業員だ。
いったん賞与を出すと来期も、って話になるかもだし、法人税を払っておいたほうが安いな。
留保することへの罰金を減らすんだから、こういう方向に向くのは当たり前です。
日本の8割の企業は法人税を納めてませんが、8割の経営者は利益として残すことなく上手に利益を使い切っているわけ。
取れそうに思った法人税が取れずに困るのは政府だけであって、日本の社会全体でみたらこれら法人税を納めていない企業は、利益にせず留保せず 期内で全額を経費で消費し景気に全力貢献している優良企業 なのです。
それと同時に、法人税率が倍になろうが業績には全く影響しないという財務体質も実に強固ですね。
法人税率の変化(引き下げ)は最初に消費税を導入したときから始まりましたが、それから24年、ずっと景気は右下がり。
これは偶然ではありません。
- 法人税の引き下げ
- 消費税の導入・引き上げ
前者は企業の消費活動を引き下げ、後者は個人の消費活動を引き下げるように作用します。
だって法人税が高ければ高いほど、より強く「税金で取られるくらいなら・・・」という消費心理が経営者に働きますからね。
法人税の引き下げで利益を得るのは会社のオーナー(株主)のみ
日本国民がみんな自分の会社を持っててオーナーなら、法人税減税に大賛成すべきですが、実際のところオーナーはたったの数%で、残り90%以上は雇われ。
雇われの身分なのに、オーナー気取って「法人税減税が大事だ!」なんて言ってみせてくれる社員さんを社長さんは大事にしないといけません(笑)
どこぞの会社の株式を持ってる人なら、企業の留保金への課税が減るということはオーナーの一員として喜ぶべきところですけど、法人税減税を歓迎されている雇われの方、どこぞの株を持ってますか?
私は持ってない(あっても誤差みたいな株数)だから、法人税減税なんかに賛成しないですよ。
株をいっぱい持っている金持ちオーナーさんたちが、「雇われ」に端金を渡して ホージンゼーゲンゼー と叫ばせてる状態。
カネを渡して連呼させる様は フーヒョーヒガイ と全く同じ構図ですけどね。
法人税率が高いと企業が外国に逃げると妄言を吐く人もいますが、利益をきちんと経費として使い切ってくれれば法人税はかからない(少ない)のに、ちゃんと経費を使わずに、やたらと留保したがるような企業は日本にいてもらう必要ないんですよ。
そんな迷惑企業が出て行ってくれれば、その穴を埋める形で起業し始める人たちが大勢でてきます。
そんなことしたらトヨタが日本から出て行く?
株主構成的にはトヨタは既に日本企業じゃなくなっちゃってるし、もう十分に外国に移転してますよ。
じゃあトヨタの法人税をゼロにしてあげたら海外の工場を閉めて日本に戻ってくると思うわけ??(笑)
大企業が決算発表なんかで、今期の経常利益○千億円(前年比△△) とかやってますが法人税率をちょっと上げて、その ○千億円 の半分の部分でも強制的に吐き出させれば、「税金で取られるくらいなら・・・」で、すぐに数十兆円規模の経済効果が創出されます。
もちろん株価は下がりますが、これからトヨタ株を買いたいと思ってる人にとっては、トヨタの株価が@6000円に向かうよりも@600円になってくれたほうが嬉しいでしょ?
既に大量の株を持ってる銀行や保険会社は大損害ですけど、我々のような十分な株を買えていない庶民にとっては、同じ資金で10倍の株数が買えますから値下がり大歓迎ですよね。
銀行や保険会社が損害カバーのために所有する不動産を大放出するでしょうから、地価もたぶん下落します。
賃貸アパートの人は家賃の値下げ交渉に使えますし、これから戸建てって人は少ないお金で不動産を買うことが出来ます。
少々の混乱は伴うものの、銀行と保険屋に泣いてもらうだけで、バラ色じゃないですか。
賃貸アパート住まいの雇われの身分なのに、企業オーナーや大家の利益を考えて自ら犠牲になっている・・・(それでいて企業オーナーや大家からは感謝もされず冷遇されたまま)・・・これが今の日本人の姿のように思えてなりません。
またまた脱線してしまいましたが、景気を引き上げたいというのなら、法人税率を上げたほうが効果的なのに、なんで賢いはずの官僚たちは逆をやろうとするんだろうかね。
「オーナーたち」から端金をもらってて先のことは全く考えていないのか、いったん財政破綻でもしないと日本は治らないという長い視線で見てるのか、そのどっちですか?