汚染度を cpm で表すのは、速度制限を rpm で決めるのと同じ

住宅除染低減率に目安…屋根34%雨どい53% : 福島


 県は、住宅除染が適切に行われているかどうかを判断するため、市町村向けの基準を設定した。これまでの住宅除染の実績などを基に、除染前と比べて放射線量がどの程度低減すれば適切と言えるかを、具体的な数値で示した。基準に強制力はないが、今後行う住宅除染の目安にしてもらう考えだ。


 低減率の基準は、屋根34%、雨どい53%、壁・塀43%、庭の表土50%、アスファルト舗装面46%。測定の単位は、放射される放射線の量を示す「cpm」とした。地域によって放射線量や住民の考え方も異なるため、市町村が独自で基準を設定することも可能とした。


 以下、全文は こちら

 「汚染度が以前の半分になれば合格」という基準は、いったいどういう発想で沸いてくるのだろうか。
 0.4μSV/h を 0.2μSV/h に下げる作業は不可能に近いが、4μSV/h を 2μSV/H にするのは比較的たやすい。


 今回の基準に照らせば、前者は不合格で後者は合格になる。


 さらに強烈なのが、単位を cpm にするという点。
 シーベルトだのベクレルだの、単位がありすぎて分からない人が増えていると思うが、cpm なんて物も含めると混乱の極みに陥ることは明白だ。


 cpm というのは、カウント・パー・ミニット の略で、「測定器が1分間に観測した放射線の数」という意味の単位であるが、物質から発生した放射線(電子)の全数を正確にカウントできるはずもなく、GM管なりシンチ(フォトダイオード)なりの性能によって感応度が異なる。
 同じ空間線量であっても、鈍感な測定器と敏感な測定器とでは、捕えることが出来る放射線の数(カウント数)が異なる。


 イメージが沸きにくいと思うけど、車についているエンジンの回転計(rpm値)と同じだと思えば早いだろう。
 μSV/h に相当するのは km/h という単位で示される速度だ。


 軽自動車など低排気量車と大型排気量車とで、rpm値 と速度の関係を比較すると、同じ rpm値 の場合、低排気量車のほうが速度は遅く、大型排気量車のほうが速度は速い。
 福島県は制限速度(制限線量)を km/h(μSV/h)でなく、回転数(カウント数)である、rpm(cpm)で表すのだと言う。。


 「以前の半分なら合格」という話を車に例えれば、「これまで時速240キロで爆走してた人は時速120キロに抑えれば合格」、「時速120キロの人は時速60キロで走らないと違反」という風に例えられる。



 私が個人モニタリングとして屋外に設置してあるのは J209 という GM管 だ。
 0.1μSV/h 前後の空間線量の場所に設置してあるが、概ね 400〜500cpm を示す。


 別に屋内で若松ネットガイガー(SBM-20)も動いている。
 微量な放射線を出す土壁が原因で屋外よりも2割ほど線量が高く、概ね 0.12μSV/h 前後ぽい感じなのだが、若松ネットガイガーの測定値は 18〜20cpm だ。


 他に J408 という管も試験運用させているが、こちらは 100cpm 前後を示す。


 同じ(似たような)空間線量の場所にあっても測定器の感度によって、cpm 値は大きく変わる。
 変わるというか、そもそも測定器が変われば cpm値 も変わるので、違う測定器同士で数値を比較することに意味が無い。


 また同じ測定器であっても、製造上の個体差や経年劣化によって空間線量に変動がなくても測定される cpm値 は異なる。
 正しい μSV/h 値を算出するため、cpm → μSV/h の計算式の定数を変更する作業を「校正」と呼び、正しい μSV/h を求めるためには定期的な「校正」が欠かせない。


 こんな風に cpm というのは測定器がその仕様と環境に基づいて出力される生データの単位である。


 感度の良い管で測れば cpm値 は大きな値を示すし、感度の低い管(経年変化で感度が下がった管を含む)を使えば cpm値 は下がる。


 こんないい加減(というか意味のない)cpm などという単位を測定基準に用いるという試みは福島以外に存在しないのではないか?



 あと引用末尾の「地域によって放射線量や住民の考え方も異なるため・・・」という下りは何だ?
 その「考え方」って何よ
 「被曝やむなし」という考えを住民に強制するのか?
 それとも、基準判断の最終責任を市町村に転嫁するための役人用語??

  • 以前の半分の汚染度になれば合格
  • cpmなどという測定器固有の単位で評価
  • 被曝やむなしの強要(もしくは責任転嫁)


 やはり役人の「放射脳化」は半端ない次元にまで進行していると判断せざるを得ない。
 常識的な思考が被曝の影響で失われていないか、彼らに対して被曝検査(細胞診)が必要だ。



(追記)
 実は cpm でなく dpm だというならば(ゴミウリの誤植であれば)、上記のうち cpm話は変わってきますが、あくまで dpm でなく cpm だという前提で書いています。