汎用ガイガー検波ユニットの製作
半年ほど前に J209 という高感度管を用いたガイガーカウンターを作って 測定してましたが、9月に静岡へ出張の折、よせばいいものを標準 Mark2 と一緒にガバンの中に無理に押し込んで持って行ったんですよ。
行きの新幹線の中で正しく動いていることを確認して、あとは放置してたんですが、帰りのホームライナー浜松号の中で確認してみたら、なんと J209 なガイガーのほうが消沈してるじゃないですか。
モバイルバッテリーの電池切れということでもなく、ガイガー基板に向かうジャンパー線を外して mbed ボード単体にしてやると動くので、ガイガー基板のどっかでショートしてるぽい挙動。
帰宅してからガイガー基板のあちこちをオシロで検電してまわってみると上手に発振できてません。
74HCT14 やらオペアンプやらMOSFETやらを新しいものに交換しても直らず・・・
どの部品が壊れたか特定するの面倒だから、もう1枚つくっちゃうか。
てことで新しいガイガー基板(高圧生成およびピコーン信号の整形) を作ってみました。
16ホール基板 を 10枚(8ホール×20ホール) 使って、コッククロフト 10段 をギッシリ詰め込んでみましたよ。
インダクタのカバーとかコッククロフトのコンデンサの頭とか、ちょっと基板からはみ出してますけど・・・
通電させたまま持つときは持つ場所を選ばないと感電します(笑)
まぁインピーダンスがかなり高いので、チクってする程度でけど。
回路は前回とほぼ同様ですが、今回の基板だとサイズ的に100均にあった理想的なプローブケース(後述)の中に納まるはずなので、ガイガー管〜ガイガー基板 を100均のビデオケーブルで延長する方法ではなく、ガイガー基板〜mbed 間を伸ばす方式にしました。
コッククロフトの終段の平滑コンデンサおよびローパスフィルターのコンデンサの類の高圧コンデンサは手持ち在庫にあわせて適当なものを見繕ってたりしてます。(さほど神経質になる必要ない部分です)
若松ネットガイガーと同じファームを使えるようにすべく基準電源の500倍に増幅するようになっており、〜1000V くらいまでの管に対応します。(1000Vを指定すると初段近くで少々耐圧オーバーしますが)
アノード電圧 900V で使いたい時には VREF に 1.8V を与えて下さい。
mbed 以外と使うときはテキトーな基準電源から作って下さい。
放射線入線に伴うピコーんは正論理の矩形波です。
小さい基板に押し込んだのと、ビデオケーブルじゃなくてUSBケーブル接続方式に変更した以外、ここまでは前回とほぼ同じですが、ここからが本題!
J209 は全長が 40cm 近くあって、プローブ化するにあたってケースが見つからなかったのですが、なんちゃってPoE で紹介したようなエレキ素材を探しに立ち寄ったダイソーのレジ脇に素晴しい部材が!!
高圧基板むき出しでのテスト風景 | 危険な基板を内蔵させてのテスト(ビデオケーブルは使ってません) |
太さには多少余裕があったんで、落としたときの保険でGM管をプチプチで巻いて突っ込んでます。
いちお三角の角っこにケーブルが通るだけの穴を空けて通してみましたが、穴を空けないでケーブルを反対側から出して密閉・防水を上手にすれば、地面に突き刺して地表線量の記録に使えそうですね。
さて、このプローブに最適なアイテムの正体とは・・・
なんと、お墓用の花立て!
「大」が J209 むけ、「小」のほうは J408 に超最適です。
こんなの紹介すると「ちゃんとβ遮蔽しろ」って言う人がいるかもしれませんが、そもそも身の回りにβ線が出るようなものが転がってちゃいけないんですよ。
GM管にβ線が入射すると必要以上にカウントが進んでしまい、「μSV/h」の値としては益々信用できないものになりますが、「値を正しく表示させるためにβ線を遮蔽する」は「商品」には必要ですが、個人ガイガーの世界ではやる必要がないことだと感じてますし、むしろやるべきじゃないと思ってます。
「数値の正確性に拘るあまり、危険なβ線を出す物質を見落とすリスク」のほうが遙かに怖いのですから。
追記(2013/01/04)
上のほうでビデオケーブルをプローブ線に使ってる写真がありますが、ビデオケーブルの静電容量は無視できないことが分かり、あの状態で長期間運用し続けるとGM管の寿命が縮む可能性があります。
非シールド線のほうが静電容量が小さいので、そういう線を使うとともに、極力短く配線したほうがベターです。