誰から見た「最良」「最悪」なのか

福島県、最悪73万人減と試算 最良でも160万人割れ


 福島県は福島第1原発事故による人口流出が長期間続いた場合、県人口が現在の約196万人から2040年に73万人減って約123万人となる可能性があるとの試算結果をまとめた。県は結果を改定中の県総合計画に将来人口の展望として盛り込む。

 試算では最良、最悪の二つのシナリオを想定した。最良では「県外に住民票を移した避難者全員が県内に戻る」、最悪では「県外に住民票を移した避難者が1人も戻らず、県内に住民票を残したまま県外に避難した全ての人が住民票を県外に移す」と条件設定した。


(中略)


 県は両シナリオの間で実際の人口が推移すると見込み、「最良シナリオに近づくための施策展開が必要だ」(復興・総合計画課)としている。


全文こちら

 個人的には福島の東半分の除染は不可能だと思ってるし、最大限やったところで道路と公共機関だけを除染したことにして「オシマイ」というところが関の山だ。
 阿武隈山地が極めて高濃度に汚染されているので、せっかく除染しても時間がたてば元の木阿弥に戻るだろう。
 賽の河原に石を積み続けて、ようやく・・・というところで鬼が壊しにやってくるのと全く同じだ。
 

 すべての建物を破壊して除染を試みたソ連ですら除染が不可能であることを悟り断念した。
 空間線量が 0.1μSV/h に下がった地帯であっても未だに居住禁止は解けていない。
 居住禁止が解けないのは25年たった今でも地面の汚染が取れていないからだ。


 ウクライナが諦めた除染作業を、それでもなお福島で(ダメモトで)やるにしても、住民を住まわせたまま時間かけてやるべきでなく、少なくとも子供のいる世帯だけでも全員避難させた状態でやるべきと思ってる。
 「少なくとも子供のいる世帯だけでも全員避難」が最良(ベター)であると思ってる私からみたら、今回の河北新報の記事にはとてつもない違和感を感じるとともに、私たちとは全く違う視線で「最良」「最悪」を定義づけていることが窺い知れる。


 福島へ戻るべきでない人たちが戻るシナリオを勝手に「最良」だと判断して、「最良シナリオに近づくための施策展開が必要だ」と結んでる。


 いったい誰の目線から見た「最良」「最悪」シナリオなのだろう。
 避難を希望する福島の人たちが一人でも多く避難できたときのシナリオは「最悪」なのか??


 河北新報の記事では「さらに避難者が増える」というシナリオを定義づけていないが、この定義をした人たちにとって「さらに避難者が増える」はシナリオとして想像もしたくない悪夢なのか?