太陽光利権に騙されるな

大規模太陽光、1キロワット時あたり42円 再生可能エネルギー買い取り価格


経済産業省は25日、再生可能エネルギーによる電力の固定価格買い取り制度が導入される7月に向け、買い取り条件を有識者で検討する「調達価格等算定委員会」を開き、メガソーラーなど大規模太陽光発電の買い取り価格(税込み)を1キロワット時あたり42円とする委員長案をまとめた。

 こういう話題を聞いて、せっせと屋根に太陽光パネルを敷き詰め始める家も増えるのだろうけど、これもまた経産省所轄の新たな利権「太陽光利権」「自然エネルギー利権」の一つになります。
 野田豚の言葉を借りれば「 シロアリの巣 」です。


 いま必要なのは補助金でもなく買取価格の増額でもなく、誰もが自由に発電しても良い 発電の自由化 なのです、という話を「発送電分離」ほどの大きな話には広げず今できる範囲で書いていこうと思います。(久しぶりに長文)



 個人が可能な発電と書くと即座に思い立つのが 自転車漕ぎ・・・なんかではなく、当然にして巷で流行ってる 太陽光発電 となるわけですが、当人たちはエコに貢献しているつもりかもしれませんが、ご近所さんが 24円/kWh くらいで買ってる電気を 42円/kWh で売りつけようとしているわけですから

発電コスト42円の電気なんていらんわ

というのが誰しもの本音のところのはずです。


 エコを自認する人たちは、初期投資150万だか200万だかを回収する必要があり、太陽光発電の促進のためには補助金と買取価格の釣り上げが必要、と声を揃えますが、そもそも150万だか200万だかの大金を勝手に注ぎ込んで、そんで自分とこで消費しきない電気を勝手に作っては倍の値段で売りつける時点で、エコの精神から大きく反していると思いませんか?


 まるで「プリウス買ってエコするから補助金ちょうだい」と言ってるようなものです。
 「プリウスがエコなら燃費の良さでペイするだろ!」って言えば済む話であって、年に1万キロも車を使わないような人たちに希少金属の塊たるハイブリッド車補助金かけてまで買っていただくのはエコに反するのです。


 話は脱線しましたが、「自分とこで消費しきない電気を勝手に作っては倍の値段で売りつける」などというヤクザ商売を庶民に広めちゃいけないでしょ。エコじゃなくてエゴなんだから。


 「電力会社に買い取らせる」というと、(買い取りたくない)電力会社が仕方なく買い取ると想像しちゃいますが、実のところは全く正反対でして、総括原価方式という有名なシステムによって、かかった経費は利益をプラスして全て個人むけ電気料金に上乗せできますから、電力会社は買取(個人から見たら売電)が増えるほど儲かってしまうのです。
 「そんな高い電気を電力会社は買っちゃいけないのに、買い取ってもいいことにする」というのが今回の制度の趣旨です。


 再生可能エネルギーで発電しようとしてる人たち電力会社が42円で無尽蔵に買い取ってくれるならバンバン発電しますね。


 例えば地熱なんて本気だせば発電原価10円以下になりますけど、地熱発電がんばって消費者に15円で売ろう」なんてビジネスは吹き飛びます。だって、電力会社が42円で買ってくれるなら、15円なんかで小売りするわけありません。42円で売れる生活に慣れれば値下げの話が出たとき、黙ってても再生可能エネルギー発電事業者たちは全力で反対してくれます。
 原発立地自治体に対する「シャブ(補助金)漬け支配」と全く同じ手口なんですよ。( シャブ漬けになった街の例 )


 結果的に、太陽光も風力も地熱も実際の発電原価とは無関係に「発電コスト42円」に近い水準に収束してしまいますので、「再生可能エネルギーはコストが高い」「やっぱ原発が割安ね」という方向へ向かわせるための伏線だと感じてます。


 私はこの愚策が最終的には再生可能エネルギー発電の健全な発展を妨害すると確信しています。
 どう見てもブラックな仕業なのに、異論を挟む隙を与えないほど白く見せてしまうという・・・エコに偽装させた明らかな搾取なのですが、こんな巧妙な手口を次々と編み出すあたり、東大出が占める経産省官僚たちの賢さは本当に半端じゃないですねぇ

 自分の手を汚すことなく目的が適う戦法って、超すばらしいですね!



 再生可能エネルギー利権という麻薬中毒に罹る特権者を尻目に、土地のない庶民は狭い屋根に20枚弱のパネルを頑張って敷き詰めて発電しますが、ぶっちゃけ総コストの 1/2 〜 2/3 は施工費と業者の儲けだと言っても過言じゃありません。

太陽光パネルの末端価格は今や 100W あたり 1万円!
中華製バラ買いの場合で。コンテナ買いは更に安い。日本製でも15000円以下が相場

 ヤマダ電気が kW あたり40万円(補助金で30万)で格安とか言って騒いでいますが、パネルのほかインバータ(パワコン)や施工費がかかるとは言え、私からしたら「補助金ありきを見越して倍掛けしてんじゃねぇよ!」ってところです。

 個人の方とは言えど法律上は「電気を販売する」立派な小規模発電事業者になられるのですから、きちんとした設備を構えて一定の品質を維持した電力供給を行う義務が生じます。
 そうしたことを担保するため、公的に認可された機材を用い、同じく認可された工事士が責任をもって施工するため、この程度の費用がかかるのは仕方ありません。

と彼らは即座に反論してくると「それはそうだな」となってしまうかもしれませんが、売電する=小規模発電事業者 であることは確かですが、発電と売電とは別問題のはず・・・発電したら売らないといけないのか?

 太陽光発電は非常に高価なので余った電気が売れないと初期投資が回収できなくて困りますよね。
 42円で買い取ってあげますから、うまくいけば10年くらいで元が引けますよ。
 ただし品質の悪い電気は困りますから、認定を受けたところからシステムを買ってくださいね。
 そうじゃないと電気を買い取ってあげませんよ。

 なんか、こーいう感じの 限りなくブラックに近いグレーな投資話 が以前に流行りませんでしたっけ?(笑)


庶民の分際で電気を売ろうとスケベ心を出すから高価なシステムを買わされる


 私が知ってる個人の太陽光発電屋さんは「儲かる話だとは思っていないし儲ける気もない、ただせめて初期投資だけでも回収できれば嬉しいなぁとは思ってる」その程度の意識の方ばかりです。
 太陽光のカタログを集めている皆さんも実はそうでしょ?


 「発電した電気は売らないといけないのか」という最もシンプルかつ単純なことに、なぜ誰も気がつかないのでしょうか。


 所詮、個人宅における太陽光発電なんてものは家庭菜園の延長くらいのものであるべきはず。
 家庭菜園に興味があって こまめちゃん がないか見に来た客に トラクター を勧めて売りつけてるようなもんです。


 家庭菜園にトラクター買わせておいて、「出来た野菜を倍の値段で買い取りますから」ってさ。
 それ違うでしょ。トラクター屋が儲かってるだけじゃん。
 更には「野菜を売るんでしょ? それなら農薬検査やらセシウム検査も必要ですね」ってさ、おいおい。
 家庭菜園のつもりが、いつから農家にさせられちゃったんだ?



 実は日本だけなぜだか普及していませんが、海外では「家庭菜園感覚で太陽光発電」という機器が普通に売られています。
(以下ちょっとだけ宣伝ぽい書き方になりますが、どっかにアファリンクを埋め込んだりはしてません、笑、広告なしブログで通してますので)


http://dl.ftrans.etr.jp/?a57a99c25b6b4b77ba1ef83bd731a7e9c2c3cb0f.png


 グリッドタイインバーター という呼ばれている機械がそれで、普通のコンセントに差し込み、パネルからの線を繋ぐだけです。
(いま売られてるものはパネルを繋ぐところが端子台になってて接続に技が必要ですが、普及すればMC4コネクタでワンタッチ接続式になるはず)


 庭のある人は庭先に、マンションの人はベランダへ、どこか太陽光が当たる場所にパネルを広げておくだけで、手軽に発電できてしまうものが 世界では格安で売られている のです。


 kW あたり 40万 もの ラクター 太陽光発電システムなんか売ってる場合じゃないでしょ
 折り込み広告のキャッチコピーを考えるならば

工事も申請も不要で、持ち帰ったらすぐに発電開始
今ならパネルスタンドとソーラーケーブル10mをサービス♪


簡易太陽光発電セット なんと 300W で 49,800円500W で 79,800円


注)発電した電気を売ることは出来ません。ベランダなど高所取付用の金具は別売になります。

ってとこでしょうか。


 公称500W分のパネルだと年間に 500kWh くらいの発電が期待できることになっているので、kWh あたり 24円 を払ってる人なら、500kWh×24円/kWh=12000円 もの電気代を節約することが可能です。
 売電なんかしなくても、8万円の機器代金は6年半でペイしますし、失敗してもリスクは最大8万円で済みますから「ちょっとエコに挑戦してみるか」という気にもなるでしょ?


 こんな機械が存在することすら知らなかった人が大部分かと思いますが、日本だけは「堂々と売れない国」なのです。


 なんで「堂々と売れない」かと言いますと、経産省(電力会社の代弁者)が、「粗悪品(かもしれない)で発電した品質の悪い(かもしれない)電気を電柱に流してもらっては困る」と言いがかりを付けてくるのです。
 公称 500W ったら晴れた日の実効値で 300〜400W くらいの発電力ですが、冷蔵庫やテレビ・パソコン等々で 400W 消費していれば、電気は電柱へは流れ出しません。


 冷蔵庫のコンセントを抜いて、家中の電化製品のコンセントを抜いて、待機電力を極限まで減らした状態で晴れた日に太陽光発電したら、そりゃ 400W の発電の大部分が電柱に流れ出してしまう可能性だってありますが、「大飯原発には5mを超える津波は来ない」と想定するくらいの楽観主義者たちが、「冷蔵庫など全電化製品のコンセントを抜いて発電するかもしれない」などというレアケースを想定するのは矛盾しています。


 言葉に窮すると奴らは口走ります。

もしかしたら、400Wしか消費機器がないのに、4kW 発電する人が出てくるかもしれない

 なんという官僚脳・・・
 ここまで来ると、もはや救いようがありません。


3.6kW もの電気をタダでくれてやるために、大枚はたいて 4kW ものシステム導入するわけないだろ!


 そうです。
 電力会社に送電しても1円も貰えないという話であれば、誰も余分なパネルは買わないのです。
 太陽があたって発電できる昼間に、実際に消費している程度の電力分のパネルしか買わないのです。


 そりゃ、どピーカンで、事前の予定に反して 数十W ほど発電しすぎて電柱に流れ出しちゃうことだってあるかもしれませんが、そんなレベルは実際には工場のモーターの回生電力でしょっちゅう起きてますし、そもそも力率の悪い電化製品があふれてる個人宅を相手に心配する次元じゃないでしょ。



 何か後半は商品の宣伝みたいになっちゃいましたが、太陽光発電の促進に補助金も買取も必要ありません。

  • (今のところグレー扱いの)小規模グリッドタイインバーターを正式に公認したうえで普及の邪魔をしない
  • 少量(最大でも数百Wくらい)の意図しない送電(逆潮流)は黙認する
  • もし不具合が生じる場合は、一定の送電量(1kW等)を超えたら自動遮断するブレーカーを取り付ける


 たったこれだけの、ちょっとした規制緩和 だけで十分なのです。
 余った電気の買取りという仕組みがありませんから、売電メーターも不要です。
 何ら費用をかけることなく、爆発的に太陽光発電が普及するでしょう。


 そもそも太陽光発電なんて脱原発の代替えにはなりえず、日中昼間のピークカットのお手伝いできるくらいが精々なんですから、これで十分なんですよ。


 再生可能エネルギーを使って発電する事業者の電気を電力会社に 42円 で買い取らせる必要もないんです。
 「地熱発電がんばって消費者に15円で売ろう」というビジネスを描く事業者を育てる方策を考えるべきなんです。


(追記)
 ソフトバンクの孫がメガソーラー事業とか騒いでますが、全国に点在する携帯電話の基地局の電源を自前のメガソーラーで賄おうとする気があるのか?問い詰めてみるべきです。
 たぶん基地局基地局で今のまま24円(もっと安く買う契約を結んでいるもしれない)で電気を買い続けて、それとは全く別に、メガソーラーで発電した電気は「別会社だから」とか言って全量を42円で売り抜ける算段でしょう?


 まったくもって、茶番もいいところです。


追記(2012/07/08)
 脱原発の代替えエネルギーは短期的には石炭火力発電がベター という記事を書きました。


追記(2012/09/13)
 電気料金値上げの原因はエコキュート / 脱原発は「脱オール電化」が近道 という記事も書きました。
 オール電化の人たちが原発12機分もの電気を余分に浪費しているようです。


追記(2016/04/01)
 今日から電力自由化、太陽光発電を使わない電力会社と契約したいのだ という記事を書きました。
 太陽光発電の電気なんて賦課金を払ってまでして買いたくないですよ。 
 再エネ賦課金制度をとっとと廃止してもらいたい。