パニック防止が何よりも優先になってる

 食品の放射能安全基準値が大幅に引き上げられている。
 と書き始める前に、癌の告知はすべきでない(患者にとって非情だ)、という信念の方は、どうか読み進めないで頂きたい。
 私は、自分が癌になったら告知してもらいたい人なので、その前提で書き進める。



 前回の記事 では飲料水を例に書いたが、これまでWHO基準を援用して、131ヨウ素137セシウムともに10bq/L が基準になっていたが、これを適用すると関東地方から飲める水道水がなくなってしまうため、水道水の汚染が公表される直前に、ヨウ素は 300bq、セシウムは 200bq までが「暫定基準値」となり、今では「暫定」の言葉がとれて、晴れて「安全な基準値」として報道されるようになってしまった。
 先週まで「暫定基準値」とメディアが呼んでいたのを覚えてる方もおられることだと思うが、その記憶は正しい。


 関東圏の水道水を飲める水とするために、検証もなく20〜30倍まで緩和してしまったのである。
 一応、乳幼児向けには 100bq という成人とは違う数字が設定されたが、これもまた WHO の基準では安全な飲料水ではなく「飲まざるを得ないときにやむを得ず飲むときの上限値」なのだけど、もはや、そんな正直なことを報じるメディアもなくなってしまった。


 食品も同様で、基準値が大幅に緩和される見通しだ。
 最初のうちは「暫定基準値を下回り、ただちに健康に害を・・・」と報道されるが、しばらくすると「基準値を下回り、ただちに健康に害を・・・」に変わることは明白だ。


 「ここまで緩和しないと飲める水、食べれる食料がなくなった」ことを意味する。
 大幅に緩和された基準値を下回る食品には「安全」のレッテルを貼られ、汚染度の表示がされることなくスーパーに並べられ、また、外食産業の食材として用いられることになる。


 こんな茶番は賢明な人にはお見通しなので、結局のところ、関東一円を産地とするグレーな食材をスーパーで買う人はいなくなる。大幅に緩和する前の基準値を下回る本当に安全なものであったとしても、その見分けができないので、福島とそれに連接する県の食材は誰も買わなくなるだろう。
 農薬汚染が懸念されている中国製であっても、放射能が隠蔽されている国産よりはマシ(放射能よりも農薬のほうがマシ)と言って中国製を買う人も増えるだろう。


 むしろ汚染度を数値表記することを義務づけたほうが農家にとっては都合がいいはずなのに、どうして、これほどまでに市場心理が理解できないのか。数値を隠蔽するから消費者が風評で判断せざるを得ない状態に追い込まれるのである。
 全くアホを通り越して言葉が出ない。現場経験ゼロなくせに学位だけ立派な奴が机上で考えているのだろう。
 官僚の入れ知恵だとは思うが「どうせ国民は無知な馬鹿だから大丈夫」と完璧に舐められてる。



 食品基準値の他にも政府・官僚・マスゴミが連携してついている嘘(隠し通している真実もしくは矮小化していること)として


福島原発3号機はプルサーマル運転しておりプルトニウムが含まれたMOX燃料が使用されている
  →プルトニウムってナニ?って人はネット検索などしないでスルーした方が精神的に良い
●その3号機の原子炉は破損して密閉性が保たれていない
  →作業員の被爆状態・汚染度を見ても明らか
プルトニウムが検知されていないのではなく意図的に調べていない(調べた上で非公開としている可能性もあり)
●1号機もしくは2号機のどちらか(もしくは両方)も破損してる可能性が高い
●通電しても1〜3号機の中で最後の砦たるECCSが動かないことが確実な炉がある(全てだとは思いたくないが)
●1〜3号機のうち1基でも「手がつけれない状態」に陥ると、他基も同様に「手がつけれない状態」になる
●放水して生じた大量の高濃度放射能汚染水は殆どが海へ、また一部は地下へ(地下水へ)
●海に流出したもの、生物濃縮を経て、もう少ししたら近海の魚が食べられなくなる。
  →生物濃縮には数ヶ月〜数年かかるので暫くは大丈夫だが、汚染水流出が止んでも魚は当分(数年)食べられない
●この惨事の終結(原発からの放射能が止まるまで)には数週間でなく早くて数年オーダーの年月がかかる。
●風向きと天気(雨)の加減で汚染地域が変わるものの、建屋を密封するまでずっと汚染が進行する
●台風時期までに密封が完了できないと遠く離れた西日本も汚染される(間に合わない可能性が高い)
半減期8日のヨウ素が報道の中心だが、半減期30年のセシウムも併せて注視すべき
  →汚染が回復するよりも前に次から次へと汚染物質が飛来して汚染が進む
●怖いのは外部被曝(外からの放射線にあたる)じゃなくて、放射性物質を体内に取り込むことで生じる内部被曝である点
  →自然代謝で排泄されるまで、ずーーっと被爆しっぱなし
●大企業・テレビ局・官公庁などが関西に拠点を移しているのは計画停電が理由でない
  →5年10年も被爆しづけたくないから移転してるだけ


 確かに、国民に真実を伝えるのは気の重いことだ。
 癌の告知に近いものがある。


 ようやく昨日30キロ圏内が自主避難とかになったらしい(既に避難地域になっていると思い込んでいて前回の記事では書き間違えたが・・・)
 30キロ圏内で、政府の言うとおり自宅待機してた人たちは、広島原発の落ちた日に現地入りした人(直撃を受けてない人)を遙かに超える線量を被爆してしまった。(累積500mSVを超えたとの報道より)
 放射性物質(チリ)も吸い込んでいるだろうから、今から安全な場所に避難しても、この先ずっと被爆し続ける(セシウムの場合で自然代謝には半年かかる)


 こんなこと書くと失礼だが、政府とマスゴミを信用するような人だから無知そのものだったのだろう。
 知らぬが仏とは言うものの、あまりに惨すぎないか。


 私の考える避難範囲(終息まで長期的することを念頭にした安全な飲料水や食料の入手容易性も考慮して)
http://dl.ftrans.etr.jp/?e811fa433ad0455ca533d8862886a27b50cdf8d6.png

距離 幼児 子供 成人 老人
50キロ以内 × × ×
100キロ以内 ×
150キロ以内
200キロ以内

× 避難するべき
△ 避難を検討(避難できるなら避難)
○ 今のところ大丈夫だろう


※妊娠中の方は幼児と同じに、これから妊娠を予定されている方は子供と同じに考えた方がいいと思う。
※老人の方は放射能被曝による機能障害を発症するより前に寿命を迎える可能性が高いため、心配しすぎても無駄
※地形や風向きの関係で危険度は同心円状ではない。
 右の絵のような感じで、北西と南西は危険度が高く、真西は危険度が低めである。


 疎開できる人は早々に疎開したほうがいい は東京圏を念頭に書いた。
 福島の人はそんな悠長なこと言ってられない。


補足
 水道水の基準値 10bq の日本語ソースを見つけましたので張っておきます。
 日本水道協会 WHO 飲料水ガイドライン 2004年(コピー)の 202頁 (AcrobatReaderからの指定は230頁)