新・汎用ガイガー検波ユニットの製作(前編)

 若松Mark2 の昇圧部は気温への影響度が強すぎるため、全く新しい昇圧回路を検討してみることにしました。

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 細かい原因は上記記事の中で解析していますが、たった1本のダイオードの温度特性に翻弄されているためです。
 定番 555 を使って、もっと簡便に作れちゃうんじゃないの?って試してみたら、実に簡単に作れてしまいました。


 必要電圧が足りないときはコッククロフトで倍々にしていけば済むので、まずはコッククロフトを使わない素の回路で昇圧限界を探ってみようと思います。


http://dl.ftrans.etr.jp/?e91cfcccbbc04885950f286c2749736a9fa8a3b5.png


 最大の留意点は CMOS 型でなく、TTL 型の 555 を使うこと。
 秋月で言えば、NE555 は OK で、LMC555 は NG です。


 Nch MOSFET は耐圧さえ満たせば何でも良く、今回は最大耐圧 600V な TK2Q60D を投入してみました。
 最近になって高圧コンデンサも秋月で扱うようになり、今回の部品は全て秋月でそろいます。
 0.1μF@630V0.22μF@630V も、10個単位で買いそろえておきましょう。


 計測は2台の 秋月オシロスコープ を使って行いました。
 なお、秋月オシロはデフォで最大 50V なため、出力電圧を測るほうへは定格最大 1200V な 高圧オシロプローブ(100:1)を使用しております。(オシロには500Vが5Vに見える)


http://dl.ftrans.etr.jp/?0cd8bee741874c809dfb33f54acc86f6f71e8e63.jpg


 入力:約5.6V
 可変抵抗:1kΩの位置


 右上:MOSFETのゲート(NE555の3ピン)
 右下:出力(100:1 のプローブ測定なので、電圧は100倍)


 結論:400V(約70倍) に成功


 5.0V だと 200V くらいが限界でした。
 たった 0.6V の違いなのに思ったより昇圧できない理由は NE555 の最終段の上側がエミッタ・フォロワなトランジスタで、5V 時で 4.3V くらいしかゲートに印可できず、高圧MOSFET のドライブに足りていないのだと思います。


http://dl.ftrans.etr.jp/?2874366dcc3d4113b19ec5cf92e9ef97e180c0b0.jpg


 入力:6.8V
 可変抵抗:1kΩの位置


 右上:MOSFETのゲート(NE555の3ピン)
 右下:出力(100:1 のプローブ測定なので、電圧は100倍)


 結論:600V(約88倍) に成功


 今回は使用部材の耐圧が 600V なので 600V で打ち止めましたが、電源に 9〜12V を使えば1発で 900〜1000V まで昇圧できそうな手応えです。
 とりあえず J209 むけに 900V が生成できればいいのですが、コッククロフト1段で 450V×2 にするか、1000V な MOSFET を調達してダイレクトに 900V を目指すか、迷えるところ。。


 次回はフィードバック回路(電圧が上がりすぎないようなリミッター)や検波回路も取り付けて、ちゃんとした「汎用ガイガー検波ユニット」としてご紹介する予定です。


(追記)
 負荷はガイガー管を念頭にしていますため、電力の供給余力はわずかしかありません。
 1000V まで測れるテスターをお持ちでも内部抵抗(恐らく10MΩ)の負荷に耐えられず、テスターで測ると電圧降下します。
 測定には 100:1 くらいのプローブが必須です。


(追記)2016/04/10
 当記事の続きを書きました。