テスラの家庭用蓄電池よりも、まずは揚水発電だ!

 めったにメールなんて来ないもんだから、週1くらいでしかチェックしてない gmail のほうにブログを見られたという方からのメールが届いてました。

ひとつ御意見をお伺いしたいのですが、ご存知の通り、Teslaが発表した
家庭用蓄電池、あれについてどう思われますか?
技術的な問題、コストなど是非忌憚のない御意見を伺いたいと思います。

 テキトーに好き勝手を書いていて日のアクセス数が3桁しかない過疎ブログなのですが、「忌憚のない御意見」なんて言われると天狗になってしまいそうです(笑)


 「ご存知のとおり」とありましたが、まったくもって Tesla の蓄電池なんて知りませんでした。
 電気自動車を販売したようなことは聞いたことありますが、知り合いにリーフ乗ってる人がいて「冬は寒いから使わない(ヒーターを使うと航続距離が大幅に縮む、途中で電欠したらアウト)」って笑い話を聞いて、確かに・・・って頷いていた次第。


 「人為的な CO2 で地球温暖化」という陰謀論を信用しない私としては、希少鉱物を浪費するくらいなら普通にガソリン焚いて走ったほうがエコだろ?って感じで、蓄電式の電気自動車および電動アシスト自動車(俗に言うハイブリッド)はありえない。。


 話を最初に戻して「Teslaが発表した家庭用蓄電池」ってなんぞ?って調べてみました。

米テスラ、家庭用蓄電池を発表



[ロサンゼルス 30日 ロイター] - 米電気自動車(EV)メーカー、テスラ・モーターズ(TSLA.O: 株価, 企業情報, レポート)は、家庭・法人・電力会社向けの蓄電池「テスラ・エナジー」を発表した。


(中略)


そのうち、家庭用の蓄電池の名称は「パワーウォール」。設置業者向けの販売価格は、10キロワット時のモデルが3500ドル、7キロワット時のモデルが3000ドル(インバーターや設置費用は除く)。


引用元はロイター記事

 ITメディアの記事 のほうが分かりやすいですけど、3000ドル×120円/ドルで、「7kWh で 36万円」ってことですね。
ドル円が80円だったら24万円で買えたのに・・・


 kWh あたりに換算すると 51429円。
 10年後に会社が存続している保証はありませんが、とりあえず保証は10年とあります。


 保証する容量残(劣化率)および10年間の使用条件を明記してる書類が見つからないですが、もし仮に、昼に 7kWh 分を充電して夜に 7kWh 分を放電して・・・というサイクルで365日×10年もつとしたら、鉛蓄電池よりも安いことになります。


 我が家の独立型太陽光発電システムに使用してる鉛蓄電池は公称5kWh(12V100AH×4直列)分なのですが、産業用(フォークリフトなど)に使われてる汎用品のバッテリーだから安いとは言えど、4つで8万円(kWhあたり16000円)かかってます。
 5kWh とは言え毎日 5kWh 分の放充電を繰り返す使い方をすると2年もちません。
 我慢して2年使ったとしても10年間で5セット必要になりますから、10年スパンで見るとkWあたり16000×5=8万円にもなってしまいます。
(5kWhの上澄み2.5kWh分だけを使うに留めても精々3年程度で5年は厳しい)


 テスラ、安すぎます!
 リチウムイオン充電池に、そこまでのブレークスルーが起きているのでしょうか?


 この手の挑戦的な未来志向の商品を疑うのは忍びないですが、どことなく怪しい気が。。。
 「いちお7kWh分の電池を積んでるけど、10年もたすためには毎日2kWh分しか使っちゃいけない」みたいな感じの制限がある気がしてなりません。。。
(リチウムイオン電池は放電しすぎても充電しすぎでも寿命が縮むので寿命優先ならば真ん中だけの使い方をする)


 杞憂だといいんですが・・・



 独立型で太陽光発電やってる人だと分かる(系統連携してると気がつきにくい)と思いますが、雲が通りすぎたくらいのことで出力が2割とか3割になってしまいます。


 ありえないほどに不安定すぎる電力源で、こんな腐った電気が高値で売れてしまう(その腐った電気を近所の家庭が高値で買わされている)現在の仕組み自体が狂っている・・・という話は以前に 太陽光利権に騙されるな で長々と書きました。
 要約すると「家庭菜園の人にトラクター売りつけて、そこで出来た虫食いだらけの野菜を倍の値段で買い上げて、近隣世帯に押し売りしているだけ」という、トラクター屋が儲かるだけの、どうしようもないエゴ制度が電力買取なのですが、そういう「近隣への押し売り」を伴わないで、単純に電力会社からの買電量を減らす目的で設置される小規模蓄電システムならば歓迎すべきこと。


 ただ個人的には、太陽光発電ってものは「源泉掛け流しの温泉」みたいな感覚で使うもんだと思ってます。
 貯めて後で使おうなどという貧乏くさいことは考えない!(笑)
 太陽光発電の電気なんて掛け流せ!!



 え?勿体ない!?


 とは言え、バッテリーなんて買うくらいなら掛け流したほうが安いんですよ。
 安い=つまりエコ ってことですから、掛け流しのほうがエコ。



 わざわざバッテリー買うくらいなら掛け流したほうがエコですが、すでにバッテリーがあれば使わない手はありません。
 今すでに巨大な蓄電システムが日本には存在しているじゃないですか!?


 ずばり、揚水発電


 深夜にも出力調整が効かず 100% の発電しかできない(発電調整する試験中にチェルノブイリは爆発した)原発が、深夜に生み出す「掛け流し」の電気を貯蔵するために作られた揚水発電所を太陽光発電のために再利用したらどうですか。
 どうせもう原発は動かないのだから、深夜電力の受け皿としての揚水発電所は使い道がありませんから丁度いいです。


 系統的に末端に設置されている太陽光発電を由来とする電気を使って上流にある 18000V な揚水ポンプを動かすことは大変ですが、末端変電所の電力需要はリアルタイムにデータ取得できているのだから、見込まれる余剰電力で揚水ポンプをフレキシブルに稼働させる仕組みは割と簡単に作れるはず。


 「電気の余る深夜に揚水して、電気の足りない昼間に使う」という旧態なスタイルは20世紀そのもの。
 21世紀の今「電気の余る昼間に揚水して、電気の足りない夜間に使う」に転換できるのではないでしょうか?


 お世辞にも揚水発電が効率いいとは言いませんが(揚水と落水を合わせて総合50〜60%)、すでにあるのだから新規の設置コストはかかりません。
 ちょっとした運用変更だけで、数千万kW分の「蓄電池」が手に入ります。


 「効率が悪くて高価な揚水発電を使ったら夜間の電力料金が上がってしまう」と心配なさる方が出てくるかもしれませんが、太陽光発電の普及で昼間の電気が余る時代になればそれは仕方ないというものです。
 湯沸かしなんてガスか灯油を使えば良いんですよ。
 エコに貢献したい方は太陽熱をベースにしつつ、冬だけガスか灯油で追い炊きを!