本当の被曝量はガラスバッジ測定値の8倍以上だった

個人線量計が最大4割低く表示


(前略)


 「一定の線量がないとガラスバッジは正しく表示しない。千代田を含む大手メーカーに確認したところ、毎時10マイクロシーベルト以下の環境では性能試験をしていない ため、測定値の保証はできないと言われました。特に横方向から放射線を浴びた場合、形状的に0.6倍程度の被曝量しか反映されないというのです」


 この男性は3カ月、ガラスバッジに一定量放射線を当てる実験をしてみた。すると 積算量として3.8ミリシーベルトを示さないといけないのに、0.45ミリシーベルトしか測定されなかった という。


(後略)


http://dot.asahi.com/wa/2015012700082.html

 メーカーが認めた「最大4割低く表示される」というのは、10μSV/h 以上の環境でテストしたときの話。
 この件は、どーでもいい。


 「この男性」がどのような実験を行ったか詳しく書かれてはいないが、仮に 1.76μSV/h を24時間・3ヶ月間ずっと当て続けた(1.76μSV/h×24時間×90日≒3.8mSV)としたら・・・
(照射したり切ったりを繰り返し続けるという面倒なことはやってないだろうから、たぶんこの仮定であってると思う)


 累積被曝量が 0.45mSV と出たら、3.8mSV と読み替えないといけない


 また見出しに騙されるところだった。
 「最大で4割低い」のではなくて、実のところ、「8分の1以下で出ている可能性がある」という。


 空間線量が低くなればなるほど「級数的に」反応しづらくなるぽいガラスバッチの挙動から推測するに、1.76μSV/h よりも低い場所だったら、1/8 より更に過小値になるはずだから、測定された値に対して8倍以上をかけないと実際値は求まらない。


 原発作業員の白血病の労災認定は 5mSV/y から であるが、これはフルアーマー姿で内部被曝をしない作業員の条件。


 ガラスバッジの示す追加被曝量が年1mSV相当だとしたら、「この男性」の実験結果より8倍かけてみると、年8mSV相当。
 実際のところ×8では足りないはずで、10ミリ超える可能性すらある。


 どっちみち原発作業員だったら労災認定を受けられる基準であるが、福島では「ガラスバッジによれば年1mSVの追加被爆に過ぎないから、フクイチが原因じゃない」と言って切り捨てられる。



 こんなポンコツが示したデタラメ値を基準にして「追加被爆は年間○mSVに留まるから帰還させて大丈夫」とか言ってるが、超のつくエリート官僚たちが、この「トリック」を知らないわけがない。


 政治家と称される人種は揃いも揃って頭の弱い人たちばかりだが、太陽光利権に騙されるな の中でも書いたとおり官僚たちの「賢さ」は本物だ。


(追記)
 ガラスバッジのメーカーさんの名誉のために補足しますが、ガラスバッジがポンコツなのではなく、被災者の被曝調査に使えない仕様のものを選定した官僚がポンコツだという点。
 メーカーからの納入仕様書(いわゆるデータシート)には試験条件など細かく明記あったはずで、それの意味することを理解しながら官僚たちは「知らなかったフリ」して、故意でなく過失だと言い張ろうとしているうえに、最後にはメーカーのせいにしようとすら考えてると思われる。