新・のび太の大魔境、しずちゃんの演出に異議あり

 ドラえもんネタは以前に ドラえもんの最終話(がん作) の件を書いて以来となるけど、私は高校生くらいまで長編ドラえもんを映画館へ見に行っていたドラファン。


 大多数のおっさんドラファン同様に、ドラえもん大山のぶ代 だと信じているのは当然として、藤子不二雄が A/F に分かれる以前の作風を好む世代であったりします。
 なので「竜の騎士」「パラレル西遊記」あたりまでかな、観に行っていたのは。


 そんな私にとって「海底鬼岩城」「魔界大冒険」と並んで好きだった「のび太の大魔境」がリニューアル公開というこしで、封切初日に観に行ってきましたよ。


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 とりあえず、水田わさび の声は許すとして観ていたのだけど、ところどころ原作と違うところが気になってしまうのは、おっさんの証拠か?という気もしますが、ついつい原作本を掘り出してしまいます。


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 まず気になったところは、チッポが引く荷馬車の藁の中に身を潜めてサベール隊長の捜索を逃れるシーン。


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 原作ではサベール隊長が通り過ぎていくだけなのに対して本作では、積荷の藁をすべて落とされて、最後に残ったジャガイモ?(ドラえもんたちが秘密道具で変身している)だけの荷馬車にされてます。
 あの後、チッポが一人で藁を積み戻したのか? って心配が残り、そもそもサベールたちがチッポの荷を解く暴虐シーンが必要だったのか?? 細かい話ではありますが違和感を感じてしまいます。


 そのシーンの前、ブルススの部下の捜索を察知したペコが最初に「みんな伏せて」って言って伏せた直後、2回目に伏せて、それに合わせてみんなも一緒に伏せてみるあたり、実はペコが石につまづいただけというズッコケ場面があるんですが、のび太が「また伏せるんだ」みたいなことをわざわざつぶやいて、それに従ってみんなが伏せる、みたいな妙な間合いになってしまってて、せっかくのシーンが台無し。
 なぜみんな伏せるかという「分かりやすさ」を追求した結果であるとは思いますが、あの、のび太の余計な間合いによって、ズッコケるスピード感がなくなってしまってました。
 あそこで、ドラえもん独特の「ズッコケBGM」と一緒に笑いが出るべきところ、館内は静まったまま。


 まぁ、そういう細かなところは些細なところだと思いますが、もっとも気に入らなかったのが


 やたらと、しずちゃんをパンアップで撮ってみせている点


 パンアップって何だと言われるかも知れませんが、カメラ(アニメなので実際のカメラはないけど)が、しずちゃんを捉えるとき、水平で普通に撮るのではなく、やたらと地面側から見上げる角度で撮るシーンこと。


 しずちゃんを、いやらしく撮ってる!


 実際には描かれてはいないですけど、スカートの中が見えて然るべき角度で撮ってるシーンが非常に多い。
 「そこばっか気にしてるオッサン視点だから、そう見えるんだろ」と言われるかもしれないけれど、藤子さんが存命だったら、あの角度は絶対に許さないはず。
 しずちゃんは時折みせる入浴シーンを含めて、いやらしさの微塵すら漂わせてはいけないのに、あの演出だけは許せない。



 あと最後の、バウワンコの像が動き出したあと、ダブランダーが何とか砲という波動砲みたいなのを撃って、いったん像がぶっ倒れる辺りのシーン。
 あれも勝手に付け加えられた部分だけど、何とか砲のCG動画を使ってみたいだけにしか見えず、ほんと意味がない。


 バウワンコの像の心を動かすことに成功した時点で、この物語りはエンディングの始まりなのだから、ヒーローがいったんやられてピンチに陥るシーンはまったくもって不要。
 もう武田鉄也のエンディングテーマを流し始めてもいいくらいの展開なのに。


 ヒーローがピンチに・・・という点ではドラえもんから渡された電光丸を使って のび太が格闘してるさなか、途中で電池切れになるところ、あれもちょっとねぇ
 電光丸のおかげでサベールに勝ったという自然のままでよかったのに。


 秘密道具で言えば、「便利な道具はすべて置いてきちゃった」とことある度に連呼するものの、実のところ置いてきた秘密道具は一部で、色んな秘密道具を次から次へと出して使うのに、なんか原作よりも「便利な道具はすべて置いてきちゃった」がしつこい気もします。



 最新の技術を使って、確かに映像はとてもきれいだし、効果音もすごいと思うけれど、この作品の前半はジャイアンが主役と言って過言でないはずなのに、どうもジャイアンの見せ方がイマイチ。
 ジャイアンの見せ場であるべきとこに、先ほど書いたような、しずちゃんの余計な「演出」を多用してる風な印象を受けます。


 指定席の完全入替制の今じゃ無理だけど、昔なんて、そのまま居座って2回目3回目見ちゃえたし、私もよく2回みてたけど、幕が下りた瞬間に感動がなくなって、もう一度みたいという気が起きない、この不思議な現象はどうしたものでしょう・・・



 私が「新ドラえもん」に対して抱いている強烈な違和感は、水田わさび 以下、新しい声優が原因なのではなく、もっと違う部分にある気がしてきました。


 以前までは小学校高学年あたりを対象年齢層にしてあったと思いますが、対象年齢層を3才ほど引き下げたのか?って感じで、低学年の子たちにも分かりやすくしようとしているのは認めますが、その分、ストーリー性の厚みがなくなり、「印象に残らない」「飽きやすい」ドラえもんになっちゃった気がしてます。


 生命維持装置に繋がれた「ドラえもん」を見てるよう・・・というと言いすぎですが、ドラファンとしては納得できないとこらが多いのは確か。。本編ドラえもんが「ザ・ドラえもんズ」化しちゃった感じというべきか。


 個人的には、大山のぶ代 さんたちが降板するタイミングで、件の最終回 をベースに肉付けし、長編映画化させたうえで、いったんドラえもんを幕引きさせてしまったほうが良かったんじゃないかって今でも思ってます。。
(その上で新しいスタッフで「新ドラえもん」をスタートしたらいい)


 修理あけの開口一言「のび太くん、宿題は終わったのかい」を、大山のぶ代 さんの声で聞きたかった。


(追記)2014/08/14
 性懲りもなく STAND BY ME ドラえもん も見てきました
 おっさんドラファンはドラ泣き出来ませんでした。