実に興味深い「住所でポン」

 先月から話題になっているようですが、ようやく知った「住所でポン」騒動
 Andoroidのアプリの件(76万人だかのアドレス帳が云々)として報道されていたかと思いますが、Andoroidと縁のない私には関係ない話なので、ふふ〜んと読んでいた程度でした。


 が、どうやらアプリの件は実のところ些細な話であって本質は「住所でポン」と称して、全国のハローページ(個人)に載ってる全ての電話番号簿(名前・住所・電話番号) 数千万件を無料公開しているサイトが存在していることのほうらしい。
 今は本家サイトからは削除されているものの、グーグルや他の海外サーバーが内容のコピーを取得し、本家サイトに代わって公開続行している状態です。(ミラーサイトの一例)


 うちの家の固定電話は10年ちょっと前に契約したもので、当然にして電話帳なんぞに番号を載せるはずもなく、よって件のサイトには載っていませんでしたが実家の番号はきちんと載ってました。
 ちなみに私の携帯電話番号はネタでNTT電話帳に載せてた時期がありまして、10年か15年くらい前のハローページをお持ちの方がおられたら見つかるはず。。(030〜ですけど)


 不特定多数に配られることを前提とした「電話帳に個人情報を載せる」(個人情報の公開)に同意した以上は、遅かれ早かれ今回のようなことがおきることが予見されていたことですし、ぶっちゃければ、大昔から普通に流通してたことで、(今は知りませんが)NTTが電話番号データとして堂々と企業に数百万円だかで販売していました。
 電話帳を中国に送って現地でタイプさせてデータ化したほうが安いということで他の業者も参入し、今では 全国版のハローページ(個人電話帳)データは20万円以下で 取引されています。


 「住所でポン」との違いは有償か無償か、の違いくらい。


 今回の件で困るのは、載せられた個人というより電話帳データを有償で販売しているNTTを含めた業者だと思うんですね。
 個人情報保護が厳しくなればなるほど情報の価値(単価)が上がって名簿屋は儲かりますが、今回のような無償配布が主流になると電話帳のデータしか持ってない会社は倒産ですからね。


 こういうことがあると反射的に「規制がー」と念仏を唱え出す人がいますが、そもそも個人情報保護とは、どんな集団を仮想的な脅威とみなしているのか、どんな人たちを守ろうとしているのか、再検討する必要があります。
 私が思うには保護を厳しくすればするほど、最も脅威としてみなすべき集団を利するだけのように思いますけどね。


 保護法が施行された以降、「導入して良かったぁ」っていうより「不便になった」ってほうが多いでしょ?


 とりたてて営業電話が減ったわけじゃないし、電話帳に載せてない我が家にテレアポしてくる業者には「どこで番号を知ったわけ?」って尋ねてみますが、決まって「下4桁、総当たりで電話かけてます」って答えてくる始末。
 正直に「××名簿屋から仕入れました」などと言わず、誰だってそう答えますわ。


 今じゃ献血ルームに行っても番号札を渡され「何番さーん」って、まるで検体番号か試料番号のように呼ばれますが、「なんで名前(苗字)で呼んでくれないのか、そのほうが呼ばれたとき分かりやすい」って言ったら、個人情報保護が何とかカンとか、だそうで。


 個人情報保護法で誰が得したか? よくよく考えてみたいものです。


追記(2012/10/13)
 上で紹介したミラーサイトが account suspended に切り替わりました。
 これはどういうことでしょう。


 このミラーサイトのアカウントを持っていた人が自主的に閉鎖したのであれば全く問題ないのですが、日本の公安経由でフランス?に停止要請をしたとしたら、これはかなり問題だと思われます。
 ハローページの電話帳を有償販売している業者は黙認のままで、今回、無償提供したサイトだけが停止だとしたら、何に違反しての強制閉鎖なのか明らかにしないといけないと思いますし、今回のようなことが根拠なく執行される事態となれば、公安の都合で次々と個人サイトが閉鎖されていくことになりかねません。


 先にも書いたとおり、電話帳データの無償公開で困るのは、電話帳に載せてた個人よりも有償で販売していた業者のほう。
 そういう意味で、もし無償公開だけが規制されるのだとしたらデータ販売業者と役所との癒着が疑われる事案だと思います。