ガイガーサーバーの製作 (測定側)

 さて世間は3連休ですが、なか日に行事があるので遠出なし。
 朝に田んぼの畦草を刈り、午後はエアコンを効かせた部屋で電気工作です。
 (今の中電の電気は非原発100%です)


 GPS ロガーとシリアルロガーを併用してのガイガーロガー は収集後のデータ突合処理という難題を棚に上げた状態ながらも、一応は実戦投入を待つのみの段階となりました。
 それとは別に、YS-GC712 がシリアル出力できることを利用して、タイムラグなしにリアルタイムに汚染地図を作っていく方向性に関しても技術的な考察を中心に試してみることにします。


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 Arduino とか駆使して・・・を期待されていた方には申し訳ありません。
 買ったはいいものの、まだ通電すらさせておりませんゆえ・・・


 全くと言って工夫の跡が見られない訳ですが、機器の選定と組み合わせを考えるのも大事です!、とか誤魔化しておきます。


機材

目的 機種 電源 ポイント
ガイガーカウンター YS-GC712 6〜12V シリアル出力可能
GPSレシーバー GT-723F 3〜5V RS232Cレベルで出力されるので ADM3202 等が不要
シリアル→LAN変換 WIZ110SR 5V TELNET 互換あり、仮想COMあり、と素晴らしい
ハブ LSW3-TX-5PL 5.3V とにかく安い、5Vでも何とか動作
ルーター CTR350 5V 通信カードと直結できるルーター
通信カード NS001U SIM は WS027SH黒耳を流用

※通信カードは CTR350 で使える物なら他キャリアのものでも何でも可


 上流から順に工作(電気配線)していきますね。


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 まず1円玉サイズの GPS ユニット GT-723F の御尊顔。
 これほど小さいとは思ってませんでした。コネクタのピンピッチもあり得ない狭さ。
 とても半田付けできそうな代物ではなく、付属していた接続線の存在が輝いてました。


 この付属線、両端がこの極小コネクタになってます。この極小コネクタは宝物ですので、線を真ん中で切って片方のコネクタだけ使い、もう片方のコネクタ一式は予備品として次回の工作用に保管することにします。
 
 
 詳しくはデータシートを参照いただくとして今回使用するピンとしては

GT-723F RS232C 目的
1:GND 5:GND グランド
2:Vcc   電源(3〜5V)
3:RxD 3:TxD GT-723F から見てデータ受信(RS232Cレベル)
4:TxD 2:RxD GT-723F から見てデータ送信(RS232Cレベル)

 デフォルト設定のままで使うならデータ受信は接続しなくても構いません(設定用)
 ちなみに GT-723F の 5・6番ピンは TTL レベルです。
 マイコンに直結して利用する際には、TTL レベルのほうが無駄ないですね。(同時利用は可ぽい)


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 適当に空中配線して、パソコンの RS232C につなぎ、3〜5V のちょうど間 4V かけてみますと、何か意味ありげなデータがどんどん出てきました。
 NMEA フォーマットというらしいです。


 単独で動作しましたので、次は シリアル→ネットワーク な WIZ110SR を通してみます。
 この WIZ110SR ですが基板を軽く追うと、電源は 5V ながらも初段で 3.3V の3端子レギュレターで降圧される風なので、基板の上を流れる 3.3V を GPS の電源として頂いちゃうことにしました。


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 telnet <ポート(デフォルトは5000)>


とすると、ハイパーターミナル(or TeraTerm)なしに、先ほどと同じ形式の GPS データが出てきました。
 普通に凄いです。


 WIZ110SR のシリアルポートを仮想COMポートとしてパソコンに認識させるソフトが メーカーホームページで公開 されており、ユーザー登録してシリアル番号を貰えば使うことが出来ます。
 telnet で繋がってしまう点も凄いですが、仮想COMポートを経由して馴染み深いハイパーターミナル(or TeraTerm)が使えてしまうのも驚愕的です。


 基盤むきだし状態とはいえ、これだけの仕事をしてくれて、たったの 3150円 とは・・・
 ここら辺はまた奥が深いので、詳しい情報が必要な方がおられましたら、コメント頂ければ補足説明しますね。


 シリアルな GPS のデータがネットワークに乗ったところまで確認できました。
 次はインターネットに公開してみます。
 

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 CTR350 の USB ポートに NS001U を刺し、NS001U にハイブリに付いてた黒耳(RX430AL)を刺して使います。
 ここら辺の設定方法については、PHS300 NS001U で検索 してみてください。
 (CTR350はレアすぎるので、姉妹機 PHS300 で探すのが吉)


 ダイナミックDNS 機能も付いてますので、画面の右図のようにこれも有効にしておきます。また画面は貼ってませんが、静的NAT を指定するところがありますので、内側の WIZ110SR のポート(デフォルトで5000)を外部にマッピングします。


 姉妹機種 PHS300 にはバッテリーがある代わりに有線LANがなくて、今回のような使い方には向きません。
 CTR350 は元々のタマ数も少なかったので現時点での入手は極めて困難かと思います。
 ヤマハの NVR500 か RTX1200 を使って、ほぼ同じことが出来ると思いますので、CTR350 よりも消費電力が大幅アップしてしまう点は残念ですが、これからチャレンジなさる方はヤマハルーターを使われるのがいいと思います。
 PPTPIPSec などで VPN 張ってセキュアにデータ送信できますからね。


 GPS の電源の受け取り方だけスマートじゃないので、RS232C の中の DTR 端子あたりに電源を供給してしまうことにします。
 DB9Pオスとメスのコネクタを使ってストレート配線し、4番ピンに 3.3V を乗せてしまいます。
 あわせて、GPS 側も 4ピンから電源を貰うように配線します。(回路図)


 RS232Cストレートケーブル1本に信号線と電力線を乗せて、GPS の周辺は実にすっきりしました。


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※左側 GPS の近くにアンテナのようになってるのは、ビニールテープに巻かれた未使用の TTL レベルな信号線です。



 WIZ110SR と直接は繋がっていない別のパソコン(インターネットプロバイダも別)から telnet <公開ポート> すると、先ほどローカルで実験したときと同じように GPS のデータ表示されました。
 メーカーから仮想COM化ソフトを入れて、と<公開ポート>とを指定してインターネット越しに仮想COMポート化します。


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 COM10 とか作ってみましたが、Google EarthGPS を有効にしてやると、COM10 を探し出して現在地(GPSのある場所)がリアルタイム表示されるじゃありませんか!


 GPS と全く同じ要領でガイガーカウンター YS-GC712 も繋いでやると、同じようにインターネットで繋がった別のパソコンに対して計測値がリアルタイムで送られてきます。


 これにより位置と測定値とを、リアルタイムに別のパソコンが受け取れることになりそうです。
 あとは受け取ったデータをもとに、遠隔地にある「別のパソコン」が地図を描画しながら線量を表示したら済むわけです。


留意点
 今回のように、外部からの待ち受けに WIZ110SR を使う場合、接続パスワードを指定して意図しない第3者からの接続を防止する機能が付いていますので、それを有効にしたほうがいいと思います。


追記
 関連する記事を書きました。


追記
 こんな電気配線じゃなくて、ちゃんとした GPS 連係ガイガーカウンターを作り始めました